答えはNOです。
ポリオ公開講座で毎回必ずと言ってもいいほど出る質問が、
「生ワクチンは一生持つけど不活化は一生持たないんですよね?」
というもの。
この質問自体が根本的に誤っていることを認識しましょう。
ポリオに関して、例によってネットを中心んにさかんに都市伝説が蔓延していますが、その代表として挙げられるのがこれ。
「不活化ワクチンは一生抗体が続かないので、一生続く生ワクチンの方がいい」
大間違いですね。
まず原則。
すべてのワクチンの抗体は一生もちません!!
生ワクチンは一生抗体が持続するという認識は完全に間違ってますので、そういった記載があるようなサイトや、そういう意見を平気で述べる先生がいたら気をつけましょう。
いまあるすべてのワクチンは、予定通りちゃんと接種しても抗体は、もって10~15年程度と考えられています。
じゃあ30年前にポリオを飲んだ我々が何故今も抗体を持っているのか?
それは、これまで生きてきた中で自然に存在するポリオウィルスを知らず知らずのうちに少しずつ体に取り込んできたから、抗体が維持されているのです。(これを自然感作といいます)
日本は生ワクチンが使われていますから、周囲に生きたポリオウィルスが意外にも蔓延しているのです。
もちろん極めて微量なので、それが原因でポリオに感染してしまうことはまずありません。
それでは今後日本で生ワクチンが廃止され、自然に存在するポリオウィルスがいなくなったらどうなるのか?
欧米などではすでにこういった状態になっていると思われます。
欧米では重要なワクチン(MRやポリオ、水痘、おたふく、B型肝炎など)は10~15年おきに接種するのが普通となっています。
抗体は一生もたないので、定期的に接種することが今や世界の常識です。
日本はワクチン後進国なので、小児の時にワクチンを接種すればそれで終わり!といった誤った認識が数十年にわたって続けられてきました。
そこで最近国際問題になっているのが、麻疹です。
MRワクチンンは海外では15年おきに定期的に接種して麻疹の抗体を維持しているのですが、日本では1歳と5歳の2回で終了です。
当然ながら20歳前後に抗体がなくなってしまう青年が少なからずいます。
日本の麻疹患者が海外に比べて多いのはこれが原因です。
アメリカやカナダなどでは麻疹は撲滅されつつあるウィルスです。
なのに、抗体を持たない日本人の修学旅行生などが麻疹に感染した状態で海外へいって、そこで麻疹をばらまいて帰ってくる。
日本はこのことで世界中から大バッシングを受けているのです。
話がそれましたが、とにかく生ワクチンだからといって抗体が一生続くわけではありません!
国の予防接種事業が今後も「後進国状態」のままであるとするならば、やはり個々が自己防衛するしか方法はありません。
大人になっても定期的に接種した方がよいワクチンとして、以下のものを僕は指摘しておきましょう。
・MR
麻疹は死亡率が高い恐い病気です。また風疹は妊婦さんが感染すると大変です。
・ポリオ
今後不活化が主流になると、自然に存在するウィルスが減るので自然感作が減るでしょう。
・B型肝炎
生涯にわたって感染の機会がある、しかも感染力の強いウィルスです。
今後日本で絶対に接種を勧めていかねばならないワクチンです。
・水痘、おたふく
これもできれば15年おきくらいに接種すべきと考えます。
ところで「ワクチン後進国」という言葉、もともとあった言葉でここ数年「死語」扱いされていましたが、このブログで僕はあえて使い始めました。
ところが最近になって某県知事がさかんに使ってますね・・・
パクるな!