先週末、衝撃的なニュースが飛び交いました。
神奈川県知事が県内で不活化ポリオワクチンの集団接種を実施するとぶち上げたのです。
来年度の正式導入を待って、現在の生ワクチンの接種控えが起こっていることを問題視したためと書かれていました。
(以前の記事で僕が述べたように、1年くらい生ワクチンを中止したところで日本にポリオが流行するとは考えられませんが)
実はこの話、我々ごく一部の小児科医は2カ月ほど前から知っていました。
「どうも知事が県内で不活化ワクチンを始めるらしいぞ」
という、ある情報筋からの噂が広がっていたのです。
ただ、これはその時点ではまだオフレコとされていたので公にはなりませんでしたが、僕らのように個人的に不活化ワクチンを輸入して接種している医者達の集まりのメーリングリストではこの話題で炎上しました。
この記事は10月15日の昼休みに書いたものなので、現時点で分かっているのは、
県立病院の医師が個人輸入してワクチンを確保する。
県内の5か所の保健所で集団接種。
費用は自費で1回6000円。
健康被害に対して県は一切補償せず、その旨了承したという誓約書のようなものを書く。
以前の記事で「一見さん」の事を書きましたが、これで少なくとも神奈川県民のお子さんは不活化ワクチンの恩恵を受けることが出来ることになりそうですし、我々の負担も大いに軽減されそうですので、このニュース自体に対してはよくやった!と言いたいですね。
ですがその反面、遅い!とも言いたい。
以前から僕が述べてきたように、生ポリオは早急に中止するべきだったのです。
それを止めずに秋の集団接種を淡々と行い、接種率が低かったから後になって不活化ワクチンを導入するという・・・
もし黒岩知事が、この秋の生ポリオの接種を中止したうえで不活化ワクチンを導入したとしたら、我々は拍手喝采したことでしょう。
この秋に生ワクチンを飲んで副作用が出てしまったお子さんはどうなってしまうのでしょうか。
そして残念ながら問題点も山積しています。
ワクチンは本当に全員分確保できるのか?
接種方法はどうするのか?
補償問題は?
などなど・・・
なにより、他の県の人達はどうなるのか心配になります。
神奈川県が火付け役になって、他の県でも自主的に輸入ワクチンの接種を次々に始めるとなると、輸入元にはそれだけの大量のワクチンを日本に輸出するだけのキャパシティーはありません。
県によって格差が生じてしまうのでは??
(そもそもこの話、医師会や小児科医会などに一切知らされていませんでした)
いずれにしても、今後大混乱は必至だと考えます。
知事のスタンドプレーだと言われてもおかしくない状況です。
どうなっていくのでしょうか・・・