人気ブログランキング ポチッとな。
平松禎史 アニメーション画集
Amazon |
平松禎史 SketchBook
Amazon |
…………………………………………………………………………………………………………………
6月13日、ホルムズ海峡沖で日本などのタンカー2隻がイランの武装勢力に攻撃されました。
安倍首相がイランを41年ぶりに訪問しロウハニ大統領とハメネイ師に会談したその時だった。
安倍首相は、トランプ大統領の意向を受けて両指導者と会談し、こう報告していた。
https://www.sankei.com/politics/news/190613/plt1906130023-n1.html(産経新聞)
昨日、ロウハニ大統領からは戦争は望んでいないとの明確な発言がありました。本日はイランの最高指導者であるハメネイ師と直接お目にかかり、平和への信念をうかがうことができました。これは、この地域の平和と安定の確保に向けた大きな前進であると評価しています。
タンカー攻撃はその直後だったようだ。
イランには和平を望むまたは建前とする勢力と、強硬姿勢を貫く勢力があり、日本の外交担当者も安倍首相も把握してたはずでしょう。
日本の報道では、国際社会に影響力のある両指導者が建前的な見解を安倍首相に伝えていたと想像できる。その上で、安倍首相の外交力を評価する声もあった。
しかし
地元紙の報道からは、本音的な見解を合わせて述べていたことがわかります。
安倍首相のイラン訪問 緊張緩和の仲介とは程遠い中身と日本側の甘い評価
https://news.yahoo.co.jp/byline/kawakamiyasunori/20190614-00130114/
地元紙の報道(邦訳)部分から引用します。
安倍首相が米国はイランが核兵器を製造することを阻止するつもりであると語ったことに対して、ハメネイ師は「私たちは核兵器に反対しています。私のファトワ(宗教見解)は、核兵器の製造を禁じています。しかし、私たちが核兵器を製造しようと考えれば、米国は何もできませんし、米国が認めないことが(製造することの)障害にはならないことは、あなたも知るべきです」と語った。
さらに安倍首相が「トランプ大統領はイランの体制転覆を考えているわけではありません」と語ったのに対して、ハメネイ師は「我々と米国との問題は米国がイランの体制転覆を意図しているかどうかではありません。なぜなら、もし、米国がそれ(イランの体制転覆)をしようとしても、彼らには達成することはできないからです。
トランプ大統領の伝言はことごとく否定されている。
目の前にいた安倍首相は、まさしく「ガキの使い」のごとしです。
アメリカがイランとの和平に前向きで、中立的な日本に「橋渡し」を頼んだ、という見方も怪しいものです。
なぜならアメリカは、(普段からやってることかもしれないが)安倍首相がイラン訪問していたその時にイラン武装勢力を監視する無人機を飛ばしていた。イラン武装勢力はこれを撃ち落とそうとしたが、失敗したという報道があった。
https://www.yomiuri.co.jp/world/20190615-OYT1T50117/
アメリカもイランも日本の首相が話をしたところで何かが進展するなどと思っていなかった。
推測するに
トランプ大統領は、イラン指導者が安倍首相に対して強硬な態度を取ることを期待してたのかもしれない。そうすると、タンカー攻撃はトランプ大統領の期待以上の反応だった、と見ることができます。
イギリス外相も早速イランを非難した。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019061500199&g=int
イラン側としては、アメリカの手下がやってくるのなら自国の立場を伝えておこうと受入れたのだろう。両指導者としても武装勢力が行動に出たのは想定外だったかもしれない。
しかし、注意して読むべきは
ハメネイ師が言っていることは、主権を持つ独立国の普通の姿勢でしかない、ということです。
建前と本音の使い分けだ。
建前的A:平和優先で自分たちから戦争を煽ることはない。核兵器は持たない(使わない)。
本音的B:状況や相手の出方次第で戦争の可能性を否定しない。核武装(使用)もあり得る。
安倍首相に対するハメネイ師の回答は、見事に「AとB」を合わせたものです。
しかし、安倍首相も日本の報道も、Aだけを真に受け、Bを無視したのだ。
それはひとえに、戦後日本の姿勢が「A」のみで、「B」を考えてこなかったからだ。
外国もそうに違いないという現実にはありえない希望的観測が見て取れる。
戦争という危機でなくとも、平時の会話でも「AとB」を合わせることが日常的にあります。
「B」を無視すればどうなるかも、日常的に観察できます。
たとえば、会社の女性を食事に誘いました。
男「テレビでやってた○○って店、知ってる? 今度一緒に行かない?」
女「あー、あの店。良さそうですよね。こんど友だちと行くんです。」
男「(ふふふ。俺と行かないとは言わなかったぞ。脈アリだぜ!)そっかー。また誘うよ。」
女「はい。お疲れ様でーす。(おまえと行く気あるならこっちから声かけてるよ、バーカ。)」
主体性のある主権国家(大人)なら、常識的に「AとB」の両方を常に想定しているものです。
平時には「B」はほのめかす程度に言い、それで察するのが独立国(大人)というものです。
イランとアメリカは緊張状態にありますから、「B」を強く言う必要があった。
にもかかわらず、安倍首相も日本側報道も、これを無視したのです。
声に出して「バーカ。」と言われて当然な状況。実際に攻撃されたわけですけどね。
タンカー攻撃は想定外だったとしても、「安倍外交」なるものは最初から役に立たなかった可能性が濃厚で、役立つとすればアメリカに利用されることのみで、日本の独立性は失われる一方だったと言えます。
「ガキの使い」以上の何者でもない。
自覚がない能天気な首相に国際社会は呆れる他ないでしょうが、建前的Aでもって、アメリカを支持しついでに安倍首相も褒めてくれるかもしれないね。
*追記
ハメネイ師の元発言を英語と日本語で併記している佐藤健志さんのブログをご参照ください。
世界の真ん中で見事に失敗した日本外交、または安倍総理イラン訪問の爽快な顛末
アメリカの手下として利用されるのが仕方ないとすれば。その自覚があるならば、利用されずに気を悪くさせない程度に振る舞いながら、今は内政に集中するのがせめてもの役割でしょう。
身の程をわきまえよ。
安倍首相は、ハメネイ師の最後のことばを噛みしめるべきだ。
安倍首相がトランプ大統領の言葉として「米国との交渉はイランの発展につながる」と語ったのに対して、ハメネイ師は「米国と交渉しなくても、制裁を受けていても、私たちは発展してきます」と答えた。
これは、主権を有する独立国の主体性に満ちた立派な姿勢じゃありませんか。
貧困化する日本を立て直すこと。
経済成長(所得増)路線にピボットすること。
これが日本の喫緊の課題です。
外交力とか国防とかは成長のあとについてくるものです。先軍政治じゃなければね。
安倍首相。
外国の手のひらの上で手柄を立てようとせず、自分の国で、国民の力でできることに集中せよ。
提言努力している人たちの声に耳を傾けよ。
目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】
1,728円
Amazon |
平和主義は貧困への道 または対米従属の爽快な末路
2,160円
Amazon |
日本が売られる (幻冬舎新書)
929円
Amazon |
…………………………………………………………………………………………………………………