民主党が自民党に勝つためには | Tempo rubato

Tempo rubato

アニメーター・演出家 平松禎史のブログ

安倍首相が消費税増税見送りの判断を下した後、解散総選挙を
という線がほぼ確実と言われています。

三党合意をした民主党も増税先送りを容認したようです。

これで消費税増税の先送りを阻害する要因はほぼなくなりました。
増税は事実上、争点から外れることになると思われますが
問題は、単なる「見送り」「先送り」なのか?です。

デフレ状況を厳しく分析し、現在まで採られた政策を吟味すれば、消費税増税をするかしないか、あるいは凍結できるかどうかは(短期的には重要ですが)長い目で見た経済政策の論点としてはズレているのでは?と考えます。

消費税は景気にマイナス効果なのは明白です。
しかし、増税を見送ったとしても継続的な景気の押上げにはなり様がないからです。

あまつさえ、見送りが決まったからといって「勝利」などではありますまい。
はて、勝利… 誰に?
財務省に勝利ですか?
まさかね。
「勝利」と言うなら、増税なしで景気回復、税収増を実現させる提案をお願いします。

安倍政権になって二度も「異次元」な金融緩和を行っておりますが
景気、回復してますか?
二度目はついこの間なので効果はまだでしょうが、「黒田バズーカ 1」から一年半経ってます。
景気、回復してますか?

日本を、取り戻してますか?

なぜ消費税増税なんて話になったのかも考えてみないとね。


では、どうすれば良いのでしょう。

とりあえず民主党の記事を見てみましょう。

民主、増税先送り容認…「経済政策の失敗」強調
『枝野氏は会談後、記者団に「アベノミクスによって国民生活が痛めつけられている間は、負担をお願いできない」と語り、増税先送りは首相の経済政策の失敗が原因であるとの考えを強調した。』

これはつまり
増税すべきだったが、安倍首相の政策ミスによって予定通りの増税ができなくなった
ということですね。

経済政策の失敗によって法律で定められた物価目標や経済成長率を達成できなかったことも示唆しています。

ならば、民主党が、なぜ景気回復が出来なかったのかをどのように主張するのか。
とっても楽しみです。

そして、枝野氏の発言からは未だに消費税増税が必要だと考えていることが伺えます。
なぜ必要なんでしょうか。
財政再建のため、社会保障のため、財源確保をと言われますが、税収を増やす方法は増税だけですか?

ここに民主党勝利のポイントがあると考えます。

自民党に勝つために
ここだけの話として民主党の先生方にボクが三橋貴明さんや青木泰樹さんなど評論家や経済学者の先生方に教わった方法をお教えしたいと思います。
教える、なんて生意気が過ぎますね。。。

ボクが信頼している諸先生方は、アベノミクスが提言された時には賛同したものの、実際に発動されてからは考えを改め、多くの政策を批判的に論じています。

その趣旨はおおむねこんなところです。
・金融緩和は正しいが、財政政策が不十分なため増えたお金が民間で活用される道筋を提示せていない。
・成長戦略として打たれている政策の多くは、供給を増やすものであり、デフレギャップを大きくする可能性が高い。
・国際競争力を高めると称する政策の多くは、実質賃金の低下をまねき、国民を苦しめる。
・「バイ・マイ・アベノミクス」と外国で宣伝した政策は、国内の雇用や需要、国民の所得を海外流出させる可能性が高い。

批判の多くが現実になっています。

こういった政策の数々により、円安・株高が実現したが、実体経済への好影響はほとんどなく、8%への増税後は97年時の増税の悪影響を超える過去最悪の消費衰退を招いてしまった。

正規雇用は増えず、契約社員や非正規が増えている。
不安定な雇用状況では将来の展望も不確かで、少子化の改善は難しいでしょう。


一方で、2013年度のGDP成長率を押し上げたのは公共投資だったことが内閣府のデータからも明らかで、過去のデータを見ても公共投資を増やせばGDP成長率が上がる正の相関が見られる。

にもかかわらず、景気回復につながる財政出動ができなかったのはなぜか。
「財政均衡論による緊縮財政」を信じ込んできたこと。
したがって政府支出は削減しなければいけない、公共事業は悪である、などと政治家も国民も信じ込んできたからです。

さぁ、民主党さん
何をすれば国民のためになるかわかりますよね。
国民を苦しめた根本原因である「財政均衡論による緊縮財政」を改め、積極財政を徹底的に行い需要を刺激する政策を堂々と掲げれば、自民党打倒を再び成し遂げることができるでしょう。

政府の借金で財政破綻する、という話は根拠が無いウソ話なことも明らかになっています。

増税ではなく、経済成長によって税収を増やし、財政の再建、社会保障の充実を実現しましょう!

そうなれば、「財務省に勝った」と言えるでしょう。(勝ち負けとかどうでも良いことだけど)

どんな状況でも常に正しい経済政策は存在しない
三橋さんや青木先生などから教わったことです。

絵描きとしてはとてもわかり易い話です。
人の気持ちに作用する魅力的な絵、動きを描くのに常に正しい一つの方法はないからです。

経済は生きものであり、学術的なアプローチが極めて難しいものであることも、自民党に突き付ける有効な手立てとなります。
人の気持ちという計測不可能な、不確実なものが強く作用する経済には、特定の学説や理論に基づく方法を常に正しいとして採用することはできません。
現実の経済状況を厳しく見て、その都度、適切と思われる方法を柔軟に選んで行くことが必要です。

財務省や自民党の政策を左右してきた学者たちは、新古典派経済学や、それに基づく新自由主義的な理論を状況に関係なく、時にはデータの見方を歪めてまで採用させてきました。
デフレ脱却の実感が無いのに「もはやデフレ状況になく」などとまやかしを書くのです。
その結果が、現在の景気衰退です。

ここで述べている提言は、あくまでデフレ時の対策です。
景気回復が実現し、インフレが加熱した時には逆の方法(供給増、増税など)を取る必要が有ることも老婆心ながら付け加えさせていただきます。
柔軟性とバランスですね。
絵描きにも必要な姿勢です。

改めてもう一度書きます。
デフレ脱却と力強い経済成長を実現、維持するために、国民を苦しめた根本原因である「財政均衡論による緊縮財政」を改め、積極財政を徹底的に行って需要を刺激する政策を今、堂々と掲げて下さい。

争点はこれです。

自民党が長期政権を維持したいのでしたら、ご参考までに。
(これまた生意気な物言いですね・・・)