イコラブ、ノイミー、ニアジョイに続く第4のグループの可能性の記事ですが固定メンバーのグループの事業継承の話となります。



 前回新規アイドルグループのビジネスモデルの設定の分類を行いましたが固定メンバータイプは「1 小規模-固定メンバー」と「3 練習生-固定メンバー」、「6 番組オーディション-固定メンバー」でした。

「3 練習生-固定メンバー」については集めた練習生を維持するため定期的にグループをデビューさせて複数のグループで活動することで全体として事業継承ができます。イコラブの第4のグループもこれと似た考え方で複数のグループを立ち上げることにより例えイコラブが活動終了となっても事業継承できるという考え方です。

 「6 番組オーディション-固定メンバー」タイプは事業継承については不確実な点があります。そもそもお金を掛けて番組を作っても必ずしもヒットする訳ではありません。それでも最初の番組オーディションが上手く行けば2回目の番組オーディションは上手くいく可能性は高いと思います。それでもそれ以降はどうなるか分かりません。それはこの手法が最近の番組企画なので運用実績が少ないからです。オーディション番組そのものは古くからありました。モーニング娘。もオーディション番組の落選組でグループデビューするというものでした。ただ最近の番組オーディションは韓国の番組オーディションからの流れなので最近のものです。事業継承の有用性については様子見状態です。


 イコラブは「1 小規模-固定メンバー」タイプとしましたが本来このタイプは事業継承を計画できないタイプです。それはアイドルビジネスの成功の不確実性があるために事業継承を計画できないからです。それに対して指原グループは3グループともアイドルビジネスが成功しているので第4のグループも上手くいくと判断されているように思われます。ビジネス成功に関しては10名から12名のメンバーでCD初週売上20万枚以上で多くのアイドルグループが目標としている武道館ワンマンを開催しているので成功しているとして問題ないでしょう。今年デビューのニアジョイもデビューミニアルバムの初週売上が10万枚でさらに費用の掛るデビュープロモーションをほとんど行っていないのでその売上がそのまま収益になると考えるとビジネスとして好スタートと言えるでしょう。



 第4のグループについて利害関係者の思惑とその実行力について考察してみました。利害関係者としては指原P、運営(代アニ)、レーベル(ソニーミュージック)としました。


1 指原P

 指原Pはグループの拡大には消極的と思われます。第2のグループ(ノイミー)の時もイコラブに専念していたのでグループ拡大は考えていませんでしたが二期生募集の提案がありそれに反対するために第2グループの募集という形になりました。また以前秋元康さんとラジオで話した時秋元さんからAKBの次のプロデューサーは指原だと言われた時にAKBは人数が多いから無理ですと数の多さを断る理由にしていました。さらに指原Pのプロデューサーとしての才能は状況の客観視だと思われるのでこれまでと同じにしても第4のグループのビジネスが上手くいくとは限らないと思っているのかもしれません。

 実際に第4のグループを作るとなった時選曲や作詞については余力があると思います。これは指原Pの作詞遅れの話は無いしプリプロを録ってそれを参考に歌割りを決めてレコーディングをするという作業が毎回行われているようなので締め切りは守られているからです。ただマネジメントに不安があるようで長時間の番組収録の後にLINEが100件入っていると話していました。これは指原Pでなく運営の課題と言えます。



2 運営(代アニ)

 代アニは現在は指原Pのアイドルプロデュース能力に全幅の信頼を置いているので指原Pが第4のグループを立ち上げると言えば喜んで賛成するでしょう。ただ代アニは自前のアイドルグループを代アニの広告塔としているので一時的な収入増よりグループ活動が末永く継続することを望んでいます。活動中のグループは最低1グループあれば良いので現時点の3グループが活動中なのは非常に安定した状態といえます。従って第4のグループの立ち上げも3年後の話でも構わないと思っているでしょう。

 実際に第4のグループを立ち上げる際に代アニのマネジメント能力がネックとなっていることは自覚していると思います。ニアジョイのデビューに際してカップリング曲が減ったのも指原Pの作詞でなく運営のマネジメントの問題だと私は思っています。ニアジョイがデビューするなら3チームの運営スタッフを用意出来ればそういうことは無かったと思いますがそうでは無いようです。指原Pへの報告や指示待ちが100件というのは多すぎますがここまで指原P頼りになったのも過去の失敗の反省に寄るものなので仕方ない点でもあります。

 代アニは指原Pと仕事してイコラブが順調に売上を伸ばしているのを見てアイドルマネジメントを分かった気になって、指原P抜きでアイドルグループを立ち上げて大失敗した苦い経験があります。この記事を書くに当たってその売上を調べたらデビューシングルはオリコン初週売上25位でした。これを機に代アニはイコラブのプロデュースの名義を指原Pと代アニの共同名義から指原Pの単独名義に変更しました。おそらくこの時点からアイドルマネジメントに関しては指原Pにおんぶにだっことなったのでしょう。

 代アニもイコラブのマネジメントを通してスキルアップしていると思いますが最初の2年間では全然学習できていなかったわけで7年間で3グループも活動している現状には対応しきれていないのでしょう。第4グループの前に3グループのマネジメントの充実が課題となっているでしょう。



4 レーベル(ソニーミュージック)

 第4のグループを立ち上げて上手くいく可能性が高いと1番思い込んでいるのはソニーミュージックかもしれません。

 まずソニーミュージックはメジャーレーベルなので音楽業界がストリーミングビジネスに移行していることは充分理解していてそこで利益をあげています。ストリーミングでヒットしそうなミュージシャンについては常時募集していてオーディションも定期的に開催しています。それに対してCD売上頼りのアイドルビジネスは古い音楽ビジネスであり将来性は低いと判断しているはずです。もちろん既得権益のような坂道グループの売上を放棄するはずもなく活動継続は望んでいますが新規アイドルグループの立ち上げにはかなり消極的に見えます。それぞれ個別の理由があると思いますが新規女性アイドルグループの立ち上げはほとんど行われていません。

 私の想像で個々の理由を考えるとこうなります。まず第4の坂道グループ(吉本坂はカウントしていません)を立ち上げない理由ですが前回の記事の分類の「5 大規模-メンバー選抜、メンバー補充」のビジネスモデルの評価の変化が関わってきていると思います。以前はCD売上が多いことで人気があると思わせてブレイクの可能性が上がりましたが現在はその効果が薄れて事業継承のビジネスモデルとなっています。事業継承するだけなら初期投資(イニシャルコスト)を掛けて新グループを立ち上げる必要はなく現在の坂道グループの事業継承していれば良いとなります。音楽プロデューサーの秋元康さんの立場で考えると数年前に日向坂と櫻坂のふたつのグループを立ち上げたばかりで時間を置きたかったので新しい坂道グループの話は今年以降なのかもしれません。

 虹プロジェクトのNiziUの次の女性アイドルグループのオーディションが行われないのはJYPの意向と思われます。今年は虹プロジェクトの男性アイドルグループのデビューとなったので同じくらいの間隔で第2回の女性アイドルグループオーディションが行われるのでしょう。NiziUの活動期間には第2グループを立ち上げないのかもしれません。

 秋元康さんが様々なアイドルグループの立ち上げを行っていますがそれらにソニーミュージックが関わっていないのは新規事業として予算の掛かるプロジェクトに社内でOKが出ないからと思われます。この経営判断はCD販売が古い音楽ビジネスモデルで将来性が無いことが影響しているでしょう。

 

 そう考えるとソニーミュージックがニアジョイのメジャーデビューに関わったのは稀な例といえます。なぜニアジョイのプロジェクトがOKとなったかを考えるとデビュープロモーションを省略できる点が評価されたと思います。ソニーミュージックはデビュープロモーションが無いアーティストのメジャーデビューなら数多く行っているのでそれと同じ待遇ならとOKが出たと考えます。ただこれはソニーミュージックが社内で企画を通すための方策でソニーミュージックがニアジョイ確保に動いた思惑は別にあると思っています。


 そもそも指原グループの第3のグループ募集もソニーミュージックからの要望だったと私は思っています。これは以前記事にしましたが指原Pは第3のグループ募集の動機を話していません。これはソニーミュージックからの要望がありそれを指原Pが受けたからだと考えています。指原P自身はグループ拡大に消極的ですが若手プロデューサーとしてチャンスがあればそれを断ることはなかったでしょう。

 ニアジョイは順調にデビューしているのでこのまま行けば今年は3億円以上の売上でソニーミュージックに1億円以上の売上をもたらすと思います。1億円の売上は決して少ない額ではありませんがCD販売の古い音楽ビジネスモデルに消極的なソニーミュージックの新規事業としては小粒です。ソニーミュージックの思惑はプロデューサーとしての指原Pとの関係性の維持だったと考えます。イコラブが活動休止になっても関係性を維持するための第3のグループ(ニアジョイ)なのです。

 これは連続してヒット曲を出せるアーティストは何人かいますが連続して成功するプロデューサーが稀だからだと思います。身近な例では秋元康さんが最近様々なアイドルグループの立ち上げに関わっていますが全て成功している訳ではありません。それに対して指原Pは初めてのアイドルグループプロデュースのイコラブやノイミーを成功させてニアジョイも順調なデビューとなっています。さらに他分野ですがカラコンや化粧品のプロデュースも成功しています。ソニーが指原Pのプロデュース能力を評価して関係性を維持しょうとするのは当たり前の経営判断といえます。

 もちろんソニーミュージックの希望としてはアイドルグループのプロデュースだけでなくストリーミングでバズるアーティストのプロデュースをして欲しいと思っているでしょうがそれが出来る可能性が高いプロデューサーと言えるでしょう。またリスクマネジメントの要素もあるかもしれません。坂道グループの音楽プロデュースは全て秋元康さんなので万一秋元さんが作詞できなくなった時に対応が大変になります。複数の音楽家の集団プロデュースが妥当な線ですが坂道グループの統括プロデューサーの今野さんが承認するなら日向坂の音楽プロデュースを指原Pに任すような運用が起こりうるでしょう。そうなると第4のグループは日向坂となります。この展開になるかどうかは今野さんの指原Pの評価次第です。日向坂や櫻坂の事務所のseed&flower合同会社は秋元康さんの弟の秋元伸介さんのY&N Brothersが関わっていてこの会社はイコラブの運営にも参加しているので会社組織としての共通性があります。


 もちろん指原Pがアイドルグループプロデュースに失敗すればソニーミュージックも指原Pの能力を再評価すると思いますが現状ではその気配がないので指原Pから第4のグループの打診があればデビュープロモーション無しを条件に賛成するでしょう。



まとめとして第4のグループ立ち上げの可能性は次の場合は高いと思われます。

* 3年後に代アニがマネジメント体制を整備した上で指原Pに第4のグループを打診する

* 秋元康さんが作詞できなくなった場合にソニーミュージックが指原Pに坂道グループの日向坂か櫻坂の音楽プロデュースを提案する

* イコラブが活動終了の見込みになった時に第4のグループを検討する


 一般層へのヒット曲が無いのに音楽ビジネスとして成功しているのはすごいことですがキーパーソンの指原Pが慎重なのでバンバン新グループを立ち上げるということはなく、何らかの条件が整った時に第4のグループの立ち上げとなると考えています。