そう言えば、録画してあった「葬送のフリーレン」を見終わっていたのであった。
28話くらいだったか、2023年9月放送。
完結はしていない。
かなり面白かった。
全アニメ、トップ幾つに入るかは、完結してからにしようかな。
分からないけれど、たぶんこれは、ゲームのRPG、っていうか、ドラクエがモチーフになっているんだと思う。
FFよりもドラクエ。
ⅡなのかⅢなのかとか、そういうことではなくて。
まあ、そうは言っても、ドラクエにエルフって、意外と出て来なかった気もするけれど。
まあ、ああいう世界観っていうことよ。
ドラクエなんかもそうだけれど。魔族の王・魔王を倒す、って聞いたときに、乱暴だな、まず話し合いでしょ、って思った人も一定数いたかもしれない。
でも、この作品に出て来る魔族を見れば、それが無駄だってよく解る。
そういうような理由付けを、1つ1つしている作品とも言えると思う。
ひょっとしたら、ドラクエの方も、魔王が言っていた「私の手下になれば、世界の半分をお前にやろう」みたいなセリフで、それを表現していたのかもしれないけれど、”フリーレン”に比べれば、分かりにくい。
そして、その勇者のパーティーに、人間の何10倍だか分からないくらいの寿命の”エルフ”がいたとして。
その寿命が長いということは、思っている以上に、考え方・価値観の違いがあるのだということを、とても正確なのだろうな、という納得感をこちらが感じるような、描き方をしているのである。
そして、そういうものが、何ともいえない”空気感で”描かれている。
淡々としているっていうのか。
外連味ともノスタルジーとも違う、これは、私はリアリティーみたいなものだと思った。
ドラクエ的なものの理由付けというのも、リアリティーを使った肉付けであるだろうし。
その空気感で、登場キャラ達の心情を描いてゆくのが、また、たまらなく面白い。
エルフであるフリーレンにとって、ほんの短い期間である、10年くらいの勇者ヒンメル達との旅が、フリーレンの価値観をガラリと変えた。
その頃の思い出が、作品には、よく出て来るのだけれど。
思い出に浸っているだけの後ろ向きな作品かといえば、そんなことはない。
しみじみしたり、RPGあるあるをしたりするだけかと思ったら。
新たな旅を始めるだけではなくて、バトルなんかも始まったりする。
まったく退屈をさせないのである。
曲は、前半OP曲は、「勇者/YOASOBI」。
最初聞いたときは、このキーボードミュージックみたいなのでやるんだ、とは思ったけれど。いや、合わないとは思わなかったけれど。
上に書いた、ドラクエも8bit電子ミュージックだった訳で、この作品のルーツの1つに電子音楽は含まれている訳で。
とはいえ、この18だか19世紀ヨーロッパ風の世界には合わない可能性もあるかもしれないけれど。
やはり、歌詞が良い。
それでもうOKになってしまう。
この歌詞は、作品をよく描けている。
でもそれだけじゃないのよ。そのままを描いただけの歌詞ってけっこう何も感じなかったりするのよ。
それ以上が描けているから、YOASOBIはいいのよね。
私は、YOASOBIのやり方、全面支持をする。
聞くと分かるでしょ。
初めて聞いた時よりも、作品を楽しんだ後の方が、絵も歌詞も納得出来る。
作品を見れば見る程。
前半・後半ED曲は、「Anytime Anywhere/milet」。
ED曲らしいややスローな曲。上に書いた作品の空気感にも、バッチリ合っている。とは思った。
歌詞は、悪くはないと思ったけれど、好きという程でもなかった。
ただし、前後半通してやることによって、恐らく、ほぼフルコーラスを聞いたことになったはずである。
これによって、歌詞への満足感は増した。
それでも、私には少し足りなかったかなと思った。
ありきたりとは言えないけれど、あともう1歩でありきたりになりそうに聞こえた。
まあ、1歩でも外れていれば良いのだけれど。
ゆっくりな曲だから、深い歌詞は付けられない、ということはないと私は思う。
書ける人っていうのは、少ない歌詞の端っこにも、感動するものを埋め込むことが出来てしまうものであると、私は思う。
後半OP曲は、「晴る/ヨルシカ」。
明るい曲。聞いていて気持ちが良い。
もしかしたら、ただただ、明るいだけでもない、という気がするところも良い。
明るいだけで、中身の薄い感じかなと、聞き流しそうになったけれど、そういえば、静かなAメロの部分の歌詞が、聞き取れていなかった。
なので、歌詞を語ることは出来ないかも。
歌詞を見ながら、フルコーラスで聞いてみないと、この曲の本当の良さが分からない、ということもあるかも。
前半後半同じED曲、というところに、アニメ監督の意思がある可能性もある。
やはり、この作品の空気感に、テンポの速い(速過ぎる)曲は合わないと判断したのかなあと。
電子音すぎる音や、ディストーション利かせすぎギターや。そういうのを排したものが理想なのかなと。
YOASOBIは、歌詞が良いから仕方なく、って感じかなと、勝手に思ったりした。
ヘタをすると、内容のあり過ぎる歌詞もダメって思っていたりして。
もしそうなら、その点だけは、異議を主張しておく。
第7話だったか8話くらいだったか。
戦っていた魔族のセリフで、「思い出した、あれはフリーレンだ」みたいなセリフ。
そこで初めて、フリーレンの二つ名、”葬送の”の意味がハッキリする。
そこですぐ暗転して、サブタイトル「葬送のフリーレン」が、バンと出る。
それをまた、あの空気感でやってくれるものだから、痺れたよね。
こういうことも、やってくれる。
ドラクエにしても、この作品にしても、エルフというキャラの生まれ故郷である、ヨーロッパをリスペクトして、こういう世界観になったのだろうなとは思うけれど。
単純にそういう、昔のヨーロッパっぽい世界を体験するだけでも、面白い。
後半OP曲のバックの絵に出て来た人、悪人面だったから、てっきり魔王の後継者か何かかと思ったら、エルフの大魔法使いであった。
後半のラスボスに違いはないけれど。
笑いの方も、やり過ぎていなくて、良かったと思う。
そしてあの最終回は、あの空気感で、やはりフリーレン式温故知新(違うかな?)こそが、この作品のメインなんだ、って言っていたのかなあと。思った。
それでも、振り返ってばかりでもないし。
本当、良いバランス。
当然、次回シリーズにも期待。