12インチシングル「路地裏の少年」カップリング。
アルバム「J.BOY」収録。
父さん、昨夜夢を見たよ。
家族が昔のように一緒に暮らしてる夢だ。
夢の中では、兄弟3人にひとつずつ部屋があるんだ。
その家を持つことが出来て、父さんはとても得意気だったよ。
16才の時から働きはじめた父さんの夢といったら、
おれ達の為に家を建てることだっだものね。
おれ達いつも転勤の度に借りたちっぽけなアパート暮らしで、
重なるみたいにして暮らしていたものね。
65才の時、やっと田舎に小さな家を持つことが出来たけど、
その時はもう皆ばらばらだった。
病気のお袋の世話もその年でするのは大変だったろう。
それ以上にお袋も辛かったろう。
時々、男と女そして夫婦って何だろうと思うよ。
若い頃のおれといったら、
「親父と同じような人生は送りたくない」が口癖のようだった。
金や美しい女や自由を追いかけて、Rook&Rollのバンドをはじめた。
そして今も九州の高速道路をツアーバスに揺られて走っている。
おれは、33才になった。
父さんがあの厳しい時代を生き抜き、
おれ達子供を育てたことがどういうことなのかわかるようになった。
父さん、何も心配しなくていいよ。
子供達はうまくやっていく。
父さん達に負けないようにね。
(J.BOYツアーパンフレットより)
12インチシングルのカップリングでリリースされたのは、
ボーカルが入ったバージョン。
後にアルバムに収録された時にインストバージョンになる。
ちなみに現行発売のアルバム「J.BOY」(1999年以降盤)には、
「滑走路─夕景」の後に「シークレット・トラック」として、
ボーカルバージョンが収録されている。
「Dedicated to my parents.」と歌詞カードに記してる・・・そうですね、
丁度このアルバムを作っている時に、父のすい臓ガンがわかって、
手術をして闘病生活を始める。
その頃、父と母は瀬戸内海の島に住んでるんですけど、
ひょっとしたら父を失うんじゃないかと思って、
その時の気持ちを曲にしたんですが、
言葉に出来無かったんですね。
それでインストゥメンタルになったんです。
(省吾談)
「浜辺を歩く老夫婦(ふたり)」を俯瞰で見ているその情景は、
まるで絵画のように美しい。
アルバムツアー「ON THE ROAD '86 "I'm a J.BOY」を含めて、
未だこの曲のボーカルバージョンがステージで歌われた事は無い。
古村さんのsaxももちろん捨てがたいが、
次回のファンクラブイベント、80年代Part‐2が開催された暁には、
是非ボーカルバージョンで聴いてみたいと願う。
蛇足だが、
カバーアルバム「from a distance」では、
「鈴木重子」さんがこの曲をしっとりと歌い上げてる。
この盤も今となってはレア。