アルバム「生まれたところを遠く離れて」収録。
最近はさすがにライブで聴ける機会も殆ど無い楽曲だが、
「ON THE ROAD "FILMS"」の「Tour Scraps」では、
「ON THE ROAD 82」の「岡山県立体育館」、
「ROAD OUT "MOVIE"」では、
「日比谷野外音楽堂」での撮り下ろし映像が観れる。
個人的にはこのテイクが一番しっくりくる。
「とらわれの貧しい心で」は、アケラ・クレーンという
新しいタイプのクレーンを日本に持ってきて撮影したんですが、
アメリカのスタッフが上がった映像を見て、
「これ、どうやって撮ったの?」って(笑)。
「これは君の国が開発したクレーンだよ」って言ったら驚いてました。
普通のクレーンでは不可能な動きをするんで、
向こうの人にも珍しかったみたいですね。
あの曲をぜひ入れてくれって言ったのは、
実はうちの事務所の社長の高橋なんです。
76年のデビュー・アルバムの最後の曲ですから、
今年は20年目で意味を持ちましたね。
(ROAD OUT "MOVIE"発売時のインタビューより)
省吾のいわゆる「プロテスト・ソング」のルーツみたいな曲。
とはいえ完成度はかなり高く、
その内容は今の時代でも通用するどころか、
今の時代で更にリアリティを帯びてきている気がする。
これは凄く素直に詞と曲が出てきました。
とてもイノセントでしたよね、その頃は何に対しても。
一生懸命だっだし、無垢だったし、貧しかったし。
それを隠そうとか、加工しようとかいう気持ちは全く無くて。
つっぱった歌い方、そしてそういう曲とメローな曲のギャップの激しさ(笑)
22才の僕が、このファースト・アルバムにそのまんま入ってますね。
激しい所もあれば暗い所もある、センチメンタルな所もある。
本当にあのまんまだった。
(省吾談)
たわいのない日常から、
大きなテーマに昇華していくカタルシス。
この危ういバランスがこの曲の最大の魅力なのかも。