日経平均の3月の数値は以下の通り:
始値 39,254
高値 41,087 (22日)... 史上最高値!
安値 38,271 (12日)... 前月安値の35,854からは上昇
終値 40,369 … 前月終値比 +3.1%
本年1月〜3月の日足は以下の通り。
本年1月に入ってから上昇、
1月中旬から2月上旬までは足踏み、
2月中旬から上昇再開し2/22にバブル期の1989年12月以来の
史上最高値を更新。
3月に入ってからは;
① 3/1と翌営業日の3/4に上昇し史上初の4万円台到達。
→ 2月末発表の米のコアPCE価格指数が事前の予想通りとなり、
安心感が広がって米株が上昇、その流れで日本市場でも
半導体中心に上昇した。
(PCEとは何か? 後でざっくり説明します)
② 少し横這い、3/7〜12に大幅下落。
→「一部の政府関係者が日銀が3月か4月の金融政策決定会合で
マイナス金利を解除する事への容認姿勢を示している」との
報道を受けて円高が進行、これを受けて3/7に下落。
→ 3/11には 146円台まで円高が進行し、更に売られた。
③ 25日線近辺で踏み止まり、3/18に反転し大きく上昇。
→ 3/18〜19の日銀金融政策決定会合でマイナス金利が解除される
とのリーク記事が週末の3/17に報道され、内容がほぼ想定通り
だった事と折からの米長期金利上昇を受けた円安進行が
好感されて買われた。
→ 3/19にリーク記事通りの内容が正式決定された。
声明文に「当面、緩和的な金融環境が続く」とあったことが
特に好感された模様。
→ しかも3/20の休日中に米株がFOMC結果を受けて上昇。
翌営業日の3/21には日経平均は更に買われて史上最高値更新、
翌3/22も連日の最高値更新。
④ 最高値更新後は弱含みで月末を迎えた。
→ 急ピッチな上昇に対する警戒や機関投資家の
期末のリバランスによる売りなどに押されて
頭を抑えられた。
(機関投資家のリバランスとは何か? 後でざっくり説明します)
尚、3/19〜20のFOMCの結果は;
・FF金利の誘導目標は 5.25〜5.50%のまま現状維持。
・毎年3月、6月、9月、12月のFOMCでは
ドットチャート(FOMC参加者一人一人が想定する
年末の誘導目標を点で示したもの)が公表されるが、
今回のは下図の通りで 19人中 過半数の10人が
年内に 0.75%以上の利下げを想定している事が判り、
米株の上げ材料となった。
→ 下図の1行が 0.25%を示し、通常はFOMC 1回で
0.25%変更されるので、0.75%だと 3回分になる。
尚、1〜3月の円ドルレートの動きは下図の通り。
日経平均とかなり連動しています。
日経平均の月足チャートは以下の通り:
長期の緩やかな上昇トレンド(緑線)のレンジを1月に上抜けし、
2月、3月と更に上昇した格好。
(一時レンジを下抜けしているのはコロナ禍の2020/3〜5です)
さて、今後の動きはどうなるか?
注1) PCEとは何か?
日本語に訳すと「個人消費支出」となり、その価格指数は
インフレの程度を示す指標です。
全体の数字から変動が激しい食料品とエネルギーを
抜いたのを「コア」といい、FRBはこのコア価格指数を
重視しています。
インフレの程度を示す指標としては CPI (消費者物価指数)も
ありますが、FRBはPCEの方をより重視しているようです。
PCEとCPIの違いは何か?
非常に簡単にいうと;
・集計する役所が違う(PCEは商務省、CPIは労働省)
・調査範囲が違う(PCEは米国全土、CPIは主に都市部)
・調査対象が違う(PCEは小売データ、CPIは値札のデータ)
→ 例えばA社が値上げした為に売れなくなって安い競合の
販売が伸びた場合、PCEはそういう動きも拾うが
CPIはA社の値上げを単純に反映する。
・発表時期が違う(PCEは月末、CPIは15日前後)
→ FRBはPCEをより重視すると言っても、例えば
FOMCが月の下旬にある場合は約1ヶ月前のPCEより
直近のCPIを重視する場合もあります。
注2) 機関投資家のリバランスとは何か?
機関投資家の多くは分散投資をしており、保有する資産の
タイプ毎に持つべき比率のレンジを決めています。
例えば「株と債券を半々」という具合に。
そして、定期的に比率をチェックし、価値が上昇して
比率が増え過ぎた資産があれば売却し、比率を元に戻します。
これを「リバランス」と言います。
最近は株価が上昇しているので株式の比率が高くなっており、
比率を基準値に戻す為に株を売って債券とか他の資産を買う…
というような動きが見られた模様です。
以上です。