7/13、ニデック(旧社名 日本電産)が工作機械メーカーの
TAKISAWAにTOBをかけると発表しました。
その後のTAKISAWAの株価は下図の通り急騰!
ニデックと言えば世界でもトップクラスのモーターのメーカーで、
モーターはEV時代には自動車のエンジンに置き換わる主要部品として
注目を集めています。
主力製品のモーターのみで大きな成長が期待できる中、
なんでわざわざ工作機械メーカーなんか買おうとしているのか?
買った場合、その先には何があるのか?
気になって調べてみました。
(1) なんで工作機械メーカーを買うのか?
7/13のリリースの説明を要約すると;
① 当初の目的は他の事業とシナジーを発揮させるため。
→ モーターを作るだけでなく、モーターを作る為の機械も
自分で作った方が儲かると思った… という感じですね。
② 2021年に三菱重工工作機械(株)を買収。
③ 買収後の統合作業の過程で以下を認識した;
・工作機械は日本の製造業を支える重要産業である。
・だが限られた市場に多くのメーカーがひしめき合い
不況時には厳しい価格競争に苦しんでいる。
・好況時の儲けは不況時に備える為に内部に溜め込まれ
成長の為の投資に使われていない。
・この結果、日本の工作機械が世界で競争力を失っていき
中国などに地位を奪われていくかも。
そうなると工作機械だけの問題ではなく、日本の製造業全体が
競争力を失うことになりかねない。、
④ ニデックが世界トップの工作機械メーカーになり、
積極投資などで業界を引っ張り、日本の製造業の
競争力の維持、向上に貢献したい。
上記の考えの下、2022年にはOKK(株)、2023年には
イタリアのPAMA社などを買収し、今回はTAKISAWAを
買収しようとしている訳です。
過去に多くの企業を買収し、それらを合理化、効率化し
多くの赤字企業を黒字化してきた、という実績に裏打ち
された自信の下、工作機械事業を大きく育てていこう
という事のようです。
→ 今後も工作機械メーカーを買収していくと期待されます。
では、どんな企業を買収していくのでしょうか?
(2) 工作機械って何?
普段使っている色んな機械、スマホ、自動車、家電、等々、
これらに使われている構成部品は、各々が主に金属の素材から切られ、
削られ、磨かれて作られます。
これらの金属の素材を切る、削る、磨く、などを行うのが工作機械です。
部品だけでなく、部品を作るために使われる金型などを作るため
などにも工作機械は使われます。
また、金属だけでなく、ガラスやプラスチックなどに使われる
事もあります。
一般に日本の工業製品の品質が良いと言われる理由の一つは
性能の良い工作機械が正確に部品を作っているから、と言えます。
では、どんな機械があるのか?
① 切削加工;刃物などの工具で材料を削ったり穴を開けたりする加工。
旋盤、フライス盤、ボール盤、マシニングセンター、中ぐり盤など。
② 研削加工;砥石で材料を少しずつ削り表面の仕上げを行う加工。
平面研削盤、円筒研削盤、内面研削盤など。
③ 歯車工作機械;歯車を作る機械。
ホブ盤、シェービング盤、歯車研削盤など
④ 特殊加工;切削や研削では加工が難しい材料の場合などに
電気や超音波などを使った加工。
放電加工機、レーザー加工機、超音波加工機など。
などです。
(3) ニデックの取り扱い製品は?
(漏れや間違いがあるかもですが、ご容赦ください)
HPによれば;
①はフライス盤、マシニングセンター、中ぐり盤など。
→ TAKISAWAを買収すれば旋盤などが加わります。
②は円筒研削盤のみ。
③は一式揃えている模様です。
④は持ってないようです。
(4) 次の買収先は?
ここからは勝手な個人的な推測です。
普通に考えると、次の買収先は、ニデックが持ってない分野の
製品を持っているところでしょう。
となると、候補は;
② 平面研削盤、内面研削盤のメーカー
④ 特殊加工機メーカー
辺りかもしれません。
(5) 具体的な候補は?
OKK買収の際は 55億円を投資して66.655%取得。
今回のTAKISAWA買収は最大 171億円の見込み。
この程度が買収時に出せる資金の規模感かと思います。
この程度の金額で経営権を取る事を考えると、
多少頑張ったとしても時価総額 500億円までかと推察。
そこで、上場企業で研削盤、特殊加工機のメーカーで
時価総額 500億円未満の企業を検索すると、
以下の 8社がヒットしました。
(漏れや間違いがあるかもですが、ご容赦ください)
実際にニデックが買収を考える時には上記のように
時価総額で縛りを考えるとは限らず、また、非上場の
企業を検討するかもしれず、上記以外を考える可能性は
十分にあります。
しかし、上記も候補になる可能性も、十分にあるのでは
ないでしょうか。
現時点ではTAKISAWAの買収に注力しているでしょうから
「次」に着手するのはまだ先かもしれません。
しかし、上記の8銘柄を監視し始めるのも面白いかもしれません。
以上です。
尚、この記事は筆者個人の考えを記載しているもので、
別の見方をされる方もおられるかもしれません。
また、数字も含め、内容には筆者の書き間違いや
勘違いが含まれているかもしれません。
いずれにせよ、この記事は投資を推奨するものではありません。
内容はご自分で検証の上、投資は自己責任でお願い致します。