創薬がテーマの銘柄リストと注意事項(私流) | 投資家リプリーの気まぐれブログ

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株式投資に関して気になった事、調べた事などを気まぐれにアップしていきます。

先日、創薬ベンチャーの「そーせいグループ」についての記事を

このブログに掲載しましたが、この機会に創薬をテーマに

している銘柄をリストアップしてみました。

 

創薬ベンチャーは時々、株価が大きく動きます。

爆上げにうまく乗れると非常に美味しい...

でも急落に巻き込まれるのは怖い...

 

こんな創薬関連銘柄を攻めるさい、何に気をつければいいのか?

絶対に当たる「正解」というものなどは、ないのでしょうが、

私なりの考えを記載したいと思います。

 

 

(1)創薬ベンチャーって、どうやって稼いでいるのか?

 

一般的に、新しい薬品を開発する為には、以下のような手順を取ります:

①探索   : 薬品の元になる物質を探す。
②前臨床試験: 探し出した物質の安全性・有効性・毒性などを、
        人に使用せずに調べる。
③臨床試験: 実際に人に使って調べる。治験とも言う。
       以下の3つの段階がある:
 ・第一相: 少数の健康な成人または患者に対し、その薬品の
       安全性や、その薬品がどの様に体内に吸収され
       排出されるかを調べる。
 ・第二相: 比較的少数の患者に対し、第一相で安全性が
       確認された用量の範囲内で使用し、安全性、効き目、
       適切な投与量などを調べる。
 ・第三相: 多数の患者に対し使い、実際の治療に近い形で
       安全性と有効性を調べる。
④承認申請: 厚労省に対し、製造販売の承認を申請する、
⑤承認取得
⑥販売開始

(これらに前後して健康保険の手続きもありますが、ここでは省略)

 

この中でも、第三相の臨床試験は多数の患者の協力が必要で、

お金と時間がかかります。

その病気にかかった患者を多数集め、説明の上で納得してもらわねばならない。

患者を集める=その症例を多く取り扱っている病院やドクターの協力が必要。

 

そもそも、症例数の少ない病気だと、患者がおらず治験がなかなか進まない。

 

上記の手順で薬品の開発を進める中、創薬ベンチャーは

以下のような方法で収入を得ます。


 (a) 最終的にその薬品を自分で製造し販売する場合:
  薬品の販売代金が収入になります。
  販売開始するまでは収入ゼロで、それまでの費用は持ち出しです。
  つまり、十分な資金力が必要です。
 

 (b) 他社に販売を(大方は製造も)委ねる場合:
  開発の早い段階で委ねる相手を決めて契約する事もあります。
  契約時には契約一時金、その先の節目ごと(例えば第一相に進んだ、
  第二相に進んだ、という時)にはマイルストン収入が得られます。
  そして、販売開始以後はロイヤルティ収入が得られます。

 

 

(2)創薬ベンチャーの株価急落を招くような悪材料とは?

 

様々なケースが考えられますが、最も起こりやすく、かつインパクトの
大きな悪材料は、以下のような事だと思います:
 

 (a) 開発の途中で資金が足りなくなった。
  → 銀行借入や増資などの手段で資金を集めねばならない。
    但し、銀行の与信審査を通るのは難しい場合が多い。
    となると増資(新株予約権発行・MSワラントなども含む)
    この場合、株式の数が増える事になり、今の株主の持分が
    落ちる(希薄化と言います)事になる。これは配当の
    取り分が下がる事を意味し、株価の下げ要因になる。
 

 (b) 開発が途中でとん挫する(治験の結果、安全性の問題が出た、
   とか、効果が出なかった、とか)

 

(a)については、財務諸表を見る事で起こりやすさを

ある程度推察する事ができます。

財務諸表の中で一番見るべきなのは以下の2点だと思います:
 ① 現時点で儲かっているのかどうか?

  → 営業利益がプラスかどうか?

 

 ② 儲かっていない場合、現時点で、どれだけの

  資金を持っているか? 
  その資金は今後、どれだけもちそうか?

  → バランスシートの現預金を見る。
  → 営業キャッシュフローを見る。

    (普段の業務を通じてお金がどれだけ減ってるか?)
  → 現預金の額が、営業キャッシュフローのマイナス額の
    何年分かを見る。
 

 お金がある間に、収入を大きく増やす可能性はあるのか?
 → 販売開始済の薬品があるなら、その販売は増加傾向かを見る
 → 開発中の薬品にはどういうものがあり、その開発はどの段階
   まで進んでいるのかを見る(パイプラインと言います)

 

(b)については、各案件について開発がとん挫する可能性があるのか
どうかを予測できればいいのですが、素人には不可能です。
いや、専門家でも無理です。

なぜなら、開発者自身が一番の専門家であり、

その彼らが成功を信じて疑わない、

それでも、とん挫する... という事があるのです。

 

それを事前に推測するすべはないと思います。

 

ではどうすればいいか? 
 

案件数を見る事が一案です。同時並行に幾つの開発案件を走らせており
開発が進んでいるものが幾つあるのか? 
多数の案件を抱えていれば、一つの案件がとん挫したとしても他の案件で
挽回できる可能性があります。

 

 

創薬ベンチャーへの投資を考える際は、上記のような事も

事前に調べた方がいいのではないか、と思います。

 

もちろん、調べた上でベストだと思われる銘柄でも、

やはり急落するリスクはあります。それも否定はしませんが、

少しでもリスクを軽減したい、という方は、

上記の様な事を研究する事も一案だと思います。

 

 

(3)銘柄リスト

 

証券会社のサイトで業種が「医薬品」となっている銘柄を

検索すると、全部で 75銘柄が検索されました。

 

その中から「創薬」を主業務と見られる銘柄を選別すると

35銘柄ありました。

(もれや間違いがあるかもしれませんが、ご容赦下さい)

 

それら 35銘柄の直近の通期決算(2022/12期と2023/3期が

多いが、それ以外も若干あり)で営業利益を調べると、

以下の7社が黒字でした。

以下、営業利益率の高い順に並べています。

なお、株価や時価総額は7月3日の終値ベースです。

 

これらは上記①のポイント「儲かっているか?」をクリアしているようです。

但し、「シンバイオ」は、前期は儲かっていたが、今期は赤字の予想です。

(だから予想PERが算出されていません)

配当しているのは「杏林製薬」のみです。

 

ちなみにこれら7社の過去3年程の株価(月足)は以下の通り。

どこも低迷していますね。

「そーせい」は最近まで順調に上昇していたが、

先日、案件が一つ頓挫した事を発表し株価が急落したばかりです。

 

 

続いて、営業損益が赤字の残り 28銘柄です。

直近の通期決算期末での現預金残高と、

その期の営業CF(一社を覗いて赤字)を記載しています。

現預金が営業CFの赤字分の何ヶ月分あるかを計算し

(「月数」という項目)月数の多い順に並べています。

青い色の 10社は、現預金が営業CFの赤字の3年分以上あるところです。

つまり、特別な設備投資を行わず売上・経費・研究開発費などが前期のままなら

3年以上は増資などをせずに済み、その間に開発案件に進展があれば

資金は回るだろうと推察される企業です。

 

この 10社の株価推移は以下の通りです。

この1~2年程の IPO が7社あります。

株価が急騰している所、低迷している所、など色々ありますね。

 

 

リストに戻ります。

黄色の 10社は 現預金が営業CFの 1年分以上はあるが 3年分はない、という所です。

その間に開発案件に進展がなければ、増資などの資金調達が必要になりそうです。

 

更にその下の灰色の 7社は、現預金が営業CFの1年分に

満たない所です。これらは近い将来に増資などの手を

打つ可能性が高そうです。(実際に、アンジェスは

6月に新株予約権発行を発表しましたね)

 

最上段の「クリングル」は営業CFが黒字でしたが、

営業損益は大きく赤字だったので何か特殊事情があると

推察され、グルーピングから外しました。

 

最初の青い色の 10社以外は株価の推移は割愛します。

 

 

さて、次のポイント

「各企業がどれだけの開発案件を抱えているか?」

 

これは、この記事には記載しません。

各々が興味のある銘柄を個別に調べて下さい。

 

ご参考までに「そーせい」のパイプラインを貼り付けておきます。

 

尚、創薬ベンチャーの株価を決めるのは上記のような

ポイントのみではなく、その他の様々な要因を踏まえた

需給により株価が決まっていきます。

この記事では筆者個人の考えを記載したのみであり、

別の見方をされる方もおられるかもしれません。

また、内容には筆者の書き間違いや勘違いが含まれているかもしれません。

 

いずれにせよ、この記事は投資を推奨するものではありません。

銘柄の事はご自分で研究の上、投資は自己責任でお願い致します。

 

以上です。

 

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