NISAの2018年の非課税期間がこの12月に切れます。
どうしますか?
選択肢は以下の3つですが、②を選ぶ場合は12月の初め頃までに
「ロールオーバー」という手続きをしなければなりません。
(期限は金融機関によって異なります)
急ぎましょう!
選択肢;
① 2022年中に売る;
2022年末までに売却すれば、非課税で売却できます。
株の場合は、今年の場合は12月28日の約定までです。
投資信託の場合はファンドによって期日が異なるので、
各々のファンドの資料で確認が必要です。
売却益がある場合は、それが非課税になって万々歳ですが、
売却損が出る場合はその損を損益通算に使えない、という
デメリットがあります。
損益通算とは…
例えばNISA以外で30万円利益を上げていた時、
普通の口座で10万円の損をした場合はこの損を
上記の利益を消す事に使え、儲けが20万円になって
税金は20万円のみにかかります。
しかし、NISAで損をした場合はNISA以外の利益を
消す事に使えず、普通の口座での利益30万円に対して
税金がそのままかかってしまいます。
これがNISAで損をした場合のデメリットです。
② 非課税期間を延長する(ロールオーバー);
2023年のNISA枠を使って、非課税期間を更に5年間延長できます。
(今、議論されてる「NISAの恒久化」が実現すれば、5年と言わず
もっと延長できるようになるかもしれません)
この場合;
(a) NISAで買ったものの年末の時価が120万円を超える場合;
この場合でも、そのまま全額、非課税期間を継続できます。
但し、これで2023年のNISA枠を使い切る事になるので、
2023年は新たなものをNISAで買う事はできません。
(b) NISAで買ったものの年末の時価が120万円を切っている場合;
例えば、100万円になっている場合、2023年のNISA枠を
100万円分 使った事になります。
この場合、2023年には新たに20万円分をNISAで購入できます。
③ 売らずに、通常の課税口座に移管する;
ロールオーバーの手続きを取らず、売りもしない場合は、
自動的にこうなります。
この場合、その金融商品の税務上の買値は、最初にNISAで買った時の
買値ではなく、年末の時価に書き換えられます。
そして、来年以降に売却した場合、年末の時価との差額が売却損益と
みなされます。
例えば;
(a) 2018年に120万円でNISAで買ったものの価値が
150万円になっており、そのまま課税口座に移管した場合、
そして2023年に170万円で売却した場合、実際の売却損益は
170万円 − 120万円 = 50万円の利益ですが、税務上は
170万円 − 150万円 = 20万円の利益とみなされ、
20万円にしか税金がかかりません。
つまり、2022年末時点の含み益 30万円分の税金が
免除された事になります。
(b) 2018年に120万円でNISAで買ったものの価値が
100万円になっており、そのまま課税口座に移管した場合、
そして2023年に170万円で売却した場合、実際の売却損益は
170万円 − 120万円 = 50万円の利益ですが、税務上は
170万円 − 100万円 = 70万円の利益とみなされ、
この70万円に通常の所得税/住民税がかかります。
つまり、2022年末時点の含み損分の税金を
余分に負担する事になります。
もっと酷いのは、この例で110万円で売れた場合です。
実際の損益は10万円の損なのに、税務上は
10万円の利益とみなされ、税金を取られます。
損した上に税金も取られる訳です。
泣きっ面に蜂です。
結局どうすればいいか?
簡単に纏めると;
(A) NISAで買ったものに含み益がある場合;
① 年末までに売る ⇒ 売却益が非課税。
② ロールオーバーする ⇒ 120万円を超えてても非課税を継続。
③ 課税口座に移管する ⇒ 2022年末時点の含み益分が非課税扱い。
どれを選んでもNISAのメリットを使えており、
お好み次第で選べばいいと思います。
敢えて言えば;
◎今、NISAで持っている商品の価値が今後も
上がると思うなら、②か③
◎その場合で、新たにNISAに突っ込める資金が
あるなら③
◎今、NISAで持っている商品が今後も価値が
上がるかどうか心配なら①
ですね。
(B) NISAで買ったものに含み損がある場合;
① 年末までに売る ⇒ 売却損を損益通算できない。
② ロールオーバーする ⇒ 含み損のまま先送り。
③ 課税口座に移管する ⇒ 含み損のまま先送りで、
2022年末時点の含み損分の税金を余分に負担する恐れあり。
という事で、どの場合もNISAのメリットは取れず、
特に③はデメリットが大きいと思います。
敢えて言えば;
◎今、NISAで持っている商品が今はダメでもいずれは
価値が回復すると信じられるなら②
◎いつまでたってもダメかも、と思うなら①
→ 特にNISA以外に投資をしていない(損益通算する様な
利益がない)方は、①のデメリットは無視していいので
さっさと売っ払って心機一転、新しいのを買うのも手ですね。
◎いずれにせよ③を選ぶのはお勧めできません。
ロールオーバーの手続きをするか、売却するかしない場合は
自動的に③にされてしまうので、2018年のNISAで含み損を抱えている方は
早急に手を打った方が良いと思います。
尚、上記は「一般NISA」の話で、NISAは「一般NISA」か
「積み立てNISA」か年度毎にどちらかしか選べません。
2023年に積み立てNISAを選ぶ人は今回はロールオーバーできませんので
ご注意お願いします。
積み立てNISAをやめてロールオーバーしたい方は、金融機関にご相談下さい。
以上です。