AI inside、2022年3月期決算 | 投資家リプリーの気まぐれブログ

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株式投資に関して気になった事、調べた事などを気まぐれにアップしていきます。

昨年5月、東証グロース上場企業「AI inside」について、

「AI inside、大丈夫か?」「(同名)、続報」という2つの記事を

このブログに掲載しました。

 

それから一年以上経ちますが、未だにこの記事を見てくださる方が結構おられます。

「これは最新の状況を確認せねば!」と思い、状況を見てみました。

 

 

(1) 株価;

 

 まずは過去の動きのおさらいです。

 

 上場以来の週足は以下の通り;

 2019年12月の上場以来、同社株価は主に決算発表の度に急騰、

 ある程度の調整を挟みつつも急ピッチで上昇していました。

 

 それが、2020/11には2021/3上期の決算発表と通期見通し上方修正を受け

 更に急騰、11月16日には最高値 96,000円に到達。

 その時点のPERは306に達しました。

 

 流石にこれは「上がり過ぎ」だったのか、株価は同日中に反転下落。

 株価70,000円前後で一旦下げ止まったかに見えたが、

 2021/2月には2021/3月期決算発表を受けて40,000円前後まで急落。

 そして、2021/4月、NTT西日本から大口契約の更新を行わないとの

 通告を受けた事を公表して更に急落して20,000円を割り込み、

 以後は多少上下しつつも低迷、現在は4,000円前後…

 最高値の実に1/24前後です。

 

 最高値近辺で 100万円程度注ぎ込んだ人がもし今も持っていたら、

 価値が4〜5万円程度に落ちてる… という悲惨な状況です。

 

 直近の日足は以下の通り;

 「低迷は続けている」とは言うものの、また200日線は

 まだ下降を続けているものの、25/75日線は水平になってきており、

 漸く下げ止まりかもしれません。

 

 

(2) 2022年3月期(以下「当期」)、通期決算;

 

 (a) 当期決算; 減収減益。

  売上は前年比 28%減、営業利益は 76%減、と大幅な減収減益。

  昨年4月にNTT西日本が契約不更新を決めたサービスは

  「おまかせAI-OCR」というもので、この売上が前年度は

  全社売上の46%に達していた。これが当期は前年比84%減と

  大幅に落ち込んだ事が減収減益の最大の要因。

 

  一方、NTT西日本との契約は2019年12月スタートで、

  2020年3月期(前々期)は西日本の上乗せがQ4のみだった。

  この前々期との比較では、当期売上は倍増しており、

  営業利益は32%増加している。

 

 (b) 安全性; 良好。

  流動比率は240%で一般的に「余裕あり」と言われる200%を上回っている。

  流動負債の2倍の現預金を抱えており、当面の資金繰りに問題は見られない。

 

  当期の営業キャッシュフローがマイナスだが、それは利益の大きかった

  前期の法人税を当期に支払った為。NTT西日本の件によりビジネス規模と

  利益が急激に縮小した事が原因であり、一過性の問題だと思われる。

 

  売掛金回収期間は1.5ヶ月と短めで、在庫はなく、いずれも問題ない。


 (c) 収益性; 良好。

  NTT 西日本との契約がフルに効いていた前年度は売上総利益率93%、

  営業利益率51%、ROE 40%と極めて高い利益率を誇っていた。

  その前年度と比較すると見劣りするが、当年度も売上総利益率は75%と高く

  営業利益率も17%と高め。ROEも9%と悪くはない。

 

 (d) 成長性: 良好

  NTT西日本との「おまかせAI-OCR」とそれ以外とを

  分けた売上推移は以下の通り;

  「おまかせAI-OCR」を除いた売上は順調に伸びており、

  当期は前年比20%増、翌期(2023/3期)見通しは40%増と

  更なる成長が計画されている。

 

 

総括;


① 当社の経営状態は、安全性と収益性の面では良好。

 成長性に関しては「NTT西日本との契約をどう捉えるか?」

 

 これを一過性の取引と考え、この分を除外して当社の経営状態を見ると、

 成長性の面でも良好と言える。

② 肝心の株価はどう動くか?

 もちろん、わかりません。

 

 あくまで参考情報として;

 現在(2022年6月下旬)の株価は4,000円前後。

 そしてPERは210前後… これが高いのか安いのか?

 

 過去「PER 210前後」になる株価はいくらくらいだったか?

 週足チャートに緑色で描いてみました(結構大雑把です)。

 この図を見ると、株価が上昇基調の時は株価はPER 210を超えて

 グングン上昇しており、下降基調になるとPER 210を下回って

 下げていってるようですね。

 

 今後はどう動くか、判断は難しいですね。

 

 以上です。

 

 

 

 

尚、この財務分析・評価は筆者個人の考え方に基づいて行ったもので、

別の見方をされる方もおられるかもしれません。

また、これはあくまで決算期末日時点での状況であり、

それ以後は状況が変わっていく可能性もあります。

さらに、そもそも株価はその企業の財務内容以外の様々な要因に

大きく影響される為、財務諸表からその企業が高く評価できたとしても

それで株価が上がるとは限りません。

また、ここでの評価は、投資を推奨するものではありません。

投資は自己責任でお願い致します。
これらの点を十分ご留意お願いします。