弁護士ドットコムの株価が長期下降トレンドからなかなか抜けられません…
本年2月14日に同じ書き出しの記事をこのブログに掲載しました。
その時は「株価はまだ下がる可能性はあると思う」と記載しましたが、
予想通り、当時の株価 4,500円近辺から更に下がり、
現在は 3,500円近辺で推移しています。
5月13日の2022年3月期決算発表を受け株価は底を打ったようにも
見えましたが、戻りはゆっくりで、しかも長い下降トレンドラインを
上抜けできるかどうかという所で6月10日の米国5月CPI公表に絡んだ
インフレ警戒による世界同時株安の流れに巻き込まれ、
低迷したままに見えます。
会社の状況はどうなのか?
遅ればせながら、2022年3月期の決算を見てみました。
尚、文中で「当期」とはこの決算発表対象の2022年3月期の事を指します。
当期決算: 増収、そして大幅な増益
a) 売上は前年比29%増で、年間計画には2%届かなかったが順調と言える。
営業利益は前年の6.6倍に達する大幅増益。
最終損益も前年の10.8倍に達する大幅増益。
b) 四半期毎では下図の通り。
売上は順調に増加。
営業利益は2020/3期(前々期)、2021/3期(前期)は低迷したが、
当期は急激に増加。
前期まででは黒丸を付けた前々期Q3、前期Q1とQ4の営業損益の
悪さが目立つが、これについては後述。
安全性: 良好
a) 流動比率は205%で、一般的に「余裕あり」と言われる200%に達し、
現預金だけで流動負債の1.2倍弱をカバーしている。
営業キャッシュフロー(CF)は少なくとも過去5年はプラスで当期もプラス。
これら状況より、資金繰りに問題は当面なさそう。
b) 売掛金回収期間は1.8ヵ月で常識的な範囲。在庫はゼロ。
全く問題ない。
収益性: 前期は低収益だったが、今期は良好。
a) 売上総利益率は前々年度から当期を通じて84〜85%で、
非常に高いレベルで安定している。
b) 営業利益率は2018/3期までは20%台と高かったが、年々下落し
前々期は10%、前期は3%にまで落ち込んだ。
しかし、当期は17%に回復。
c) ROEも前々期の12%から前期は3%まで落ち込んだが、
当期は29%と大きく回復。
d) 上述の通り、前々期Q3、前期Q1とQ4の収益性が非常に低かった。
売上が順調に伸びており、売上総利益率が安定しているのに営業利益が
少なくなる場合、理由は経費の増加である事は明らか。
当社の場合、下図の中での黒丸の部分が原因と考えられる。
これら3つの四半期では主にクラウドサイン(後述)の会員獲得の為に広告宣伝を
集中投下しており、広告宣伝費が膨れ上がった。
更に、前期Q4では成長加速の為の積極的な人材採用の為の手数料等が
増えたとの事。この2点により上記四半期の総経費が増大し、営業損益を悪化させた。
当期に入ってからは広告宣伝の集中投下をする事なしに売上が順調に伸びており、
営業利益率は17%に回復した。
成長性: 良好
a) 過去2017/3期から2021/3期までの年平均成長率は33%。
2022/3期も29%増と高い成長率を維持し、2023/3期も28%増を計画。
b) 当社の事業は大きく分けて以下の2つ;
①ネットを通じて弁護士/税理士などの専門家と顧客とを繋ぎ、専門家から紹介料、
一部有料会員からの手数料、ネットの広告料などを得る事業(メディア事業)
②Web完結型の電子契約サービス「クラウドサイン」
この内、①に関しては(a)有料会員数(b)サイト訪問者数が重要であるが、
両方ともコロナ禍で増加が足踏みした感あり。
これらを反映して①の売上は伸び悩み感が否めない。
一方、上記②(下のグラフのピンクの部分)は急激に伸びている。
クラウドサインの売上推移を詳しく見ると以下の通り;
特に、固定売上(サブスク)が大きく伸びており、これは頼もしい。
この分野はペーパーレス化の進展に伴い今後益々成長すると期待される。
上記の通り、今期決算状況、安全性、成長性、の3点は良好。
収益性についても、前年度までは下落の一途だったが今年度に入って急回復し、
高収益モデルに回帰できた様に見える。
それでも株価が上がらない要因としては;
・全体地合いの悪さに引き摺られている。
・元々の本業(上述①)の売上が伸び悩んでいる。
・利益計画を開示していない。
・現在もPERは100超と高い。
あたりでしょうか。
しかし、上記②クラウドサインの成長スピードは著しく、かつ契約が取れたら
固定売上が期待できる事から、今後の決算は大いに期待できる。
(但し、当社は本年6月から大々的な宣伝キャンペーンを計画しており、
2023/3期のQ1〜Q2は経費が重くなり利益が落ちる可能性はある。
売上の伸びで宣伝費の増加分をカバーできれば良いのだが…)
PER 100超は高く見えるが、仮に利益が3倍になればPERは30台になる訳で、
今後の成長をどう見るかによって本当に高いか安いか判断は分かれる。
短い期間で株価が上がるかどうかは判りませんが、長い目で見れば
期待してもいいんじゃないか、と思います。(あくまでも個人の意見です)
以上です。
尚、この財務分析・評価は筆者個人の考え方に基づいて行ったもので、
別の見方をされる方もおられるかもしれません。
また、これはあくまで決算期末日時点での状況であり、
それ以後は状況が変わっていく可能性もあります。
さらに、そもそも株価はその企業の財務内容以外の様々な要因に
大きく影響される為、財務諸表からその企業が高く評価できたとしても
それで株価が上がるとは限りません。
また、ここでの高い評価は、投資を推奨するものではありません。
投資は自己責任でお願い致します。
これらの点を十分ご留意お願いします。
PS
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