はじめに

7月末から8月頭にかけて、スペインとフランスに旅行にいってました。

コロナ前の2019年以来の海外旅行でしたので少し緊張しましたが、最高の旅行になりました!

このブログで旅行の思い出を書いてもしょうがないので笑、僕の専門分野であることばや英語、コミュニケーションに関することを思いつくままに書いていこうと思います!

 

  ヨーロッパ旅行で感じたこと

 

言語に依存しないコミュニケーション

スペインとフランスの観光地に行ったので、世界各国から旅行客がいました。もちろん様々な言語でコミュニケーションをとることができるような工夫があったのですが、コミュニケーションという観点からいえば、言語は必ずしも必要ないのだと改めて思いました

 

たとえばトイレの流すボタン。日本では「大 / 小」で書かれていることが多いと思いますが、僕の旅行先ではボタンの大きさで流す強さが表されていました

これなら一目瞭然ですよね!こんなところにも隠れたコミュニケーションの工夫があるのだと、久しぶりの海外旅行で感じました。

 

多言語の入り交じる空間

つい先ほど「言語に依存しないコミュニケーション」について書いたばかりで恐縮ですが笑、やはり多言語が入り交じる空間であったことについても触れておきたいと思います。

 

たとえばホテルのフロントデスクには、スタッフの名前と話せる言語が明記されていたりしました(ちなみに、日本語を話せるスタッフはいませんでした笑。そういや旅行中誰一人として日本語を話す人には会いませんでした)。

 

また、店員さんが話す時に "Do you speak English? Spanish? French?"のように、何語で話すのが快適なのかを尋ねていたのも印象的でした。これによってお互い快適に話せるので、すごくいいやり方だなと思いました。ちなみに僕のような明らかにアジア人で旅行客には、英語で話しかけてくるのが定番でした。そして愛想の良い店員さんだと、"Where are you from?"と聞いてくれて、日本だと答えると"Konnichiwa! "Arigato!"などといってくれました(アニメの話などをしてくる人もいました)。

 

このような経験から、僕は大学時代にしていたホテルでのアルバイトを思い出しました。当時はインバウンドが盛んで海外からたくさんの旅行客が来ていたので、英語でコミュニケーションをとることで自分の英語力を高められると思いアルバイトを始めたのですが、そこでコミュニケーションについて色々と考えるようになりました。

たとえば、僕自身が挨拶をするときはいつも「こんにちは」にすると決めていました。そのほうが日本の雰囲気を感じてもらえると思いましたし、その反応をみて英語で良いのかを考えることができたからです(時々日本語が堪能な外国人や、ハーフの方などもいらっしゃるので)。

 

そして、今回は自分が挨拶をされる側になってみて感じたのは、やはり自分の言葉で挨拶をしてもらえるだけでも嬉しいものだなと。基本の会話が英語になるのは仕方ないのですが、そのなかで「こんにちは」「ありがとう」などと言ってもらえるだけでも嬉しかったです。おそらくこれは、自分自身のidentityを受け入れてくれたと感じたからだと思います。

 

このブログのテーマでもありますが、やはり言語とidentityは深く関係していると改めて感じました。

 

 

  translanguaging

多言語の入り混じる空間では、当然のようにtranslanguagingが起きていました。

 

たとえば店員さん同士の会話はイタリア語で、こちらに話すときは英語(+イタリア語)

、最後のあいさつはフランス語など、極めて自然に一つの会話の中で様々な言語が使われていました。

「ただのcode-switchingじゃないか」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、だとしたら最後のフランス語の挨拶は英語のままでいいはずですよね。そういう意味で、あえてフランスにいるからフランス語の挨拶をしてくれたのには何か意味があるのだと僕は解釈しました(あるいはただの癖かもしれませんが)。

 

あまりにも自然にtranslanguagingが起きていたのには改めて驚かされました

観光地という特性もあるのだろうけど、これがauthenticな言語使用なのだとしたら、やはり授業も(そしてテストも)real worldを反映したものになっていかないといけないと思いました。

 

自分自身の英語使用

最後に、僕自身の英語使用に関して振り返っておきます。

 

当然ですが、基本的には問題なく誰とでも会話できました笑。ホテルのキャンセルや様々な小さなトラブル対応など、小難しい英語も通じさせることができたので安心しました

 

一方で、僕の連れは通じないことが時々ありました。発音の問題も多少はあったかもしれませんが、それ以上に「伝え方」が大事なのだと改めて感じました

たとえば、レストランで一度オーダーした後にまた頼むかもしれないからメニューをキープしておきたいときに、「(何を頼むか)考えている」"'I'm thinking."と伝えると通じなかったのですが、僕が"We would like to keep the menu (... because we're gonna order later.)"のようにいうとすぐに通じました。

 

これは学習者にも伝えるべき大切なことだと思いました。どういうことかというと、特に語彙などが拙い第二言語の会話では、会話をしている人にとっては「相手が何をしたいか」が一番重要なのだということです。自分が「考えている」という「事実」や「心情」の「描写」よりも、「何をしたいか」「何をして欲しいか(してほしくないか)」ということが一番大切な情報なのです

 

もちろん丁寧な言葉遣いは学んでほしいし使えるようになってほしいと思いますが、相手に通じさせるスキルを習得させる上で大切なことだなと思いました。

 

  おわりに

偉そうなことを書きましたが、僕自身もたまに通じにくかったり、簡単な単語さえ出てこなかったり、全然流暢じゃなくて恥ずかしい思いもしたりしましたので、もっと英語を学んでいきたいと強く思いました!

また、translanguagingやidentityのことなどを考え、発信していくにあたって、リアルな英語使用の現場に触れ続けることも大切だと改めて感じました

 

そして何より、久しぶりの海外旅行はとっても楽しかった。全然見知らぬ街に行き、日本語がほぼ一切聞こえてこない環境で英語を話して生活すると、「別の自分」でいられるようですごく気が楽だったのです。

これがこのブログで書いているidentityの話であり、また心のサードプレイスなのだろうと感じました。

このような話を生徒にもたくさん共有していきたいと思います!!