人間の人生は、回転木馬のようにつねにまわっています。
幸運が永遠に続くわけではないし、不運がずっと続くわけでもない。
だから、誰にだってチャンスはあるのです。
もし、あなたが、「そうは言うが、私のの人生はたいがいツイていない」と思っているとしたら、それは、ツキがこないのではなくツキのタイミングを見逃してしまっているからなのです。
16世紀はじめ、イタリアのルネサンス期、フィレンツェ共和国の外交官として活躍したマキャベリも、こう言っています。
「運命が何を考えているのかは、誰にもわからないのだし、どういうときに顔を出すのかもわからないのだから、運命が微笑むのは誰だって期待できるのである」
マキャベリは、メディチ家の復活により失脚を余儀なくされたあと、郊外で隠棲しながら、数々の本を執筆します。
そこで彼は、けっしてきれいごとではない、現実に即した政治論や戦略論などを展開。上の言葉は、その中の1冊、『政略論』にある一文です。
運命は誰にでも微笑む。
でも、それがいつ来るのかは誰にとっても予測不可能。
失脚後、運命が二度と微笑むことがなかったマキャベリの言葉だけに、重みを感じます。
これまで生きてきてつくづく感じるのは、「人生はタイミング」だということです。
何かを感じたとき、「また、明日にしよう」と、決断や行動を先延ばしにしてしまえば、あっという間にチャンスは逃げていってしまいます。
たとえば、散歩中に見つけた美しい花。
「明日も咲いているだろうから、今日は摘み取るのをやめよう」と、通り過ぎてしまえば、明日、同じ場所で、その美しい花に出合えるかどうかはわかりません。
その後、誰かに摘み取られてしまうかもしれないし、雨が降ったり、風が吹いたりして、萎れてしまっているかもしれません。
今日という日が明日も同じように続くと思うのは、幻想です。
仕事でも同じことが言えます。
誰かと意気投合して、「一緒にやろう」と盛り上がったとき、一気呵成に事に取り組んだほうが、たいていの場合はうまくいきます。
一方、せっかくいい仲間、いいアイデアを得たのに、そのまま1年くらい放っておけば、お互いに情熱も冷めてしまい、結局、形にならないで終わってしまいます。
また、タイミングがほんのちょっとズレただけで、途端に物事がうまくいかなくなってしまうことも多々あります。
自分のほうに世間の流れが来ていないときは、何をやってもうまくいかないのです。それが、この世の理であり、そのときはじっと我慢しているしかない。
ただ、流れが来たと思ったら、すかさず川に飛び込む。
長い人生においては、大きい川の流れに身を任せることが非常に重要だと私は思うのです。
運命の女神は、準備している者だけに微笑む
では、どうすれば、そうした流れをいち早く察知し、タイミングよくその流れをつかむことができるのでしょうか。
残念ながら、上手い方法はないと思います。
唯一、やっておくべきは、つねに
「I'm ready」の状態にしておくことではないでしょうか。
つまり、「いつチャンスが来ても大丈夫!」とドンと構えていられるように平素から準備をしておく。
そのために必要なのは、
「勉強」と「自己管理」です。
勉強では、自分の専門分野や、自分の興味のあることなどを一生学び続ける。
学ぶことが習慣になっていれば、突然のチャンスにより新しいことを習得する必要が生じても、すっと身につけられるはずです。
自己管理は、「健康管理」と言い換えてもいいでしょう。
何事も、健康な体や心があってこそです。
病気がちでは、せっかくチャンスがめぐってきても、それに気づけないし、気づけたとしても、走ることができません。
健康管理と言っても、何か特別なことをせよと言っているのではありません。
別に、ジムに通ったり、特別な食事法を実践したりする必要はない。
それよりも重要なのは、自分の体のことをよく知ることです。
たとえば、自分は朝と夜、どちらが強いのかとか、お酒の量はどのくらいが限度なのか、など。
そうしたことをよく理解した上で、毎朝、元気に起きて出勤するには、どういう生活をおくればいいのかをよく考える。そして、自分自身をコントロールしていく。
酒量はどの程度にしておくのがいいのか、夜は何時ごろに寝ると体調がいいのか、食事はどの程度食べると、一番エネルギーを出しやすいのかなど、自分の体をよく観察して、よりよく動けるようにさまざまな選択や判断を行なっていくのです。
これができず、たとえば、二日酔いで出勤するとか、夜更かしばかりで頭が働いていないとかでは、重要な仕事を与えてもらえるはずがありません。
つねに勉強を忘れず、自分の体を知り、しっかりコントロールし続ける。
このように、つねに「I'm ready」の状態にしておけば、自分にいい流れが来たなと感じたとき、全力で走ることができます。
そして、運命が微笑んでくれたら、見事に、チャンスをつかむことができるはずです。