28歳の私は自分の人生に明るい未来が見えずにいました。

消えてなくなりたい。
死んでしまいたい。

ひとりになりたいのに、ひとりになると勝手に涙が溢れる毎日でした。
眠りにつくと刃物を持った父親から追いかけられる夢ばかり見ました。


その頃、今も大切な友人に出会います。

私が気晴らしに通ってたヨガスタジオの受付をしていた彼女。
遠くから引っ越して来た私に興味を持ってくれ、
まだこちらに友達もいなかったので、色々遊びに誘ってくれるようになりました。
面と向かって『あなたと友達になりたい』と言ってくれ、彼女には何でも話せる気がしました。

『自分の人生を変えたい、でもどうやったら良いかわからない』と伝えてみました。

すると、別の知人を紹介してくれました。
人生相談を受ける仕事をしている人。

占いだとか「未来が見える」だとかそういうものは全くあてにしない私ですが、
沢山の人の人生を知っている人と話してみると良い結果につながるかもしれないとアドバイスを受け、会ってみることに。

そして全部を話してみました。

私もいつか結婚して家族を持ちたい。
心から幸せを感じて沢山笑いたい。
でも親が心配だし、この問題があるままで自分の幸せを選ぶことはできない。
親との問題をこれからどうして行けば良いのか。
せめて30歳からは明るい人生を生きたい。


まずは父親と会ってみることを勧められました。

このまま親の事に捉われる人生じゃだめだと、
自分の人生をこれからしっかり歩む為に父親に会ってきなさい、と。
そしたら絶対に何かが変わるから、と。

その時の私には物凄く勇気のいることで、なかなか決心することができず。



一年後の29歳の時、父親に会いに行きました。
母親と兄には言わずに。

何度も深呼吸をして震えながらチャイムを押しました。

小さい頃に住んでた家。
玄関が開き、驚いた顔をした少し老けた父親がいました。

何を話して良いかわからず
ただただ涙が溢れました。
なぜかごめんねと謝っている自分がいました。

机の上には兄の子どもたちの写真がありました。
兄も父親とは縁を切って長らく会っていないはずでした。
父親からしたら血の繋がっていない兄の子どもたちの写真。
それでも父親は大事そうに飾ってました。

『自分が死んだらここに全て書いてあるから、それを見てほしい』と、USBの置き場所を教えてくれました。

少しの時間を一緒に過ごし、父親と別れました。



その後、久しぶりに地元の友人らと過ごしました。
そして、自分が初めて心から笑っていることに気づきました。
心にずっと突っかかっていたものが消えたような気がしました。




そして30歳。
ようやく心の整理がつきました。


兄と、兄の家族に謝りに行きました。
それまで冷たく当たってしまったこと、自分の中でひとつ終えることができたこと。

お義姉さんは
なぜかとても理解してくれました。

兄に父親に会ったことも報告。
兄は兄なりに父親と向き合おうとしていたそうですが、やはりとても難しいようで、『会いに行くなんて凄いな、俺にはまだできない』と。

兄は厳しく威圧感の強い父親の影響で、自分の意見を言葉にすることがとても苦手になってしまったらしく、会社で人前でプレゼンする時など、非常に苦労したそうです。


母親にも会って報告しました。
かなり驚いてましたが、
ようやく自分のこれまでの気持ち、辛かったことを正直に吐き出すことができました。

私がいつも笑顔だった為に何も気づいてなかったようで、泣きながら『ごめんね』と謝られました。




そして翌年、今の夫と出会いました。