先日、白亜紀の化石を求めて埼玉県某所に行ってきました。この地層は長野、群馬、埼玉に渡って伸びる山中地溝帯と呼ばれる山中層群の一部です。


化石は西域(長野県)側に最も多く産出し、南域(群馬県)で普通に、そして東域(埼玉県)側になると産出は少なくなります。

山中層群はとても有名な産地なので今でも週末は勿論の事、採集に来る人が多いそうですが、分布の狭さや産出量から埼玉側に来る人は少ないようです。

と言っても石堂層の模式地がある佐久穂町や恐竜が発見された群馬県側の殆どは私有地なので発掘は困難です。


産地.埼玉県奥秩父

時代.中生代前期白亜紀

地層.瀬林層上部層?

採集日.2022年3月


1.2つ


ナノナビス・ヨコヤマイ
どちらも断片ですが殻が残っていて綺麗です。

2.
不明種
何でしょう?

3.

プテロトリゴニア・ホッカイドアナ
三角貝の代表格ですね(^^)

4.

ラステラム(トサカガキの仲間)
有名な二枚貝のカキです。
本体もあったんですが紛失してしまいました(^-^;


5.

上、ネイティア
下、ナノナビス
この産地は写真上のイタヤガイ科ネイティアが結構でました。

6.
↓クリーニング後
ネイティア・マツモトイ
クリーニング上手くいきました!
中生代の二枚貝は派手なのが目立ちますね、この種は2種確認されているみたいです。

7.
上、ナノナビス・ヨコヤマイ?
下、ゲルビリア・フォルベシアーナ
笹のように細いバケベリア科の一種です。あまり見かけなさそうな貝ですが意外と散見しました。

8.
不明種
何らかの歯だったら嬉しいんですが、おそらく二枚貝でしょう…

9.
ネモカルディウム?
(Nemocardium yatsushiroense?)
先っぽに少し縦筋が見られます。

10.


小さな海生巻貝です。山中のは本体が無くなり印象化石として産出するケースが多いようで、これはお尻だけ残っています。
種類はツリテラ (turritella sp)だろうと思います。

11.

綺麗な生痕化石です。這った跡が良く残ってますね☺︎

12.

アンモナイトの断片?
助からトロパエウム属(tropaeum sp)の一種に見えます。ただ断片でかなり小型なので何とも…

13.
六射サンゴの化石
あまり産出は多くないようです。見栄えが良いですね。

14.
プチコマイア
エゾシラオガイ科の貝、
山中では有名な種類です。

15.
上、ナノナビス
下、アスタルテ
割り方にもよるでしょうがアスタルテは思った以上に出ませんでした。標本もこれ1つです。

16.
↓クリーニング後
ちょっと大きいナノナビスです。5㎝くらい
何故かこんないい貝が捨てられたように落ちてました。おそらくアンモナイトやトリゴニア狙いなのでしょう。

17.
ネズミノテガイ
海生二枚貝です、面白い名前してますね(笑)

.
またこの産地は山奥なので基本電波が届かず最初は道を間違え化石産地とはかなり離れた場所で採集していました。
しかし文献等に一切載っていない(知ってる人はいると思いますが)化石産地を発見し、そこから以下の化石を採取しました。

1.


バケベリア属の貝化石
お馴染みのカキですが、かなり密集しており、カキが層を作るカキ床が見られました。
保存状態はかなり悪いです(^-^;

2.

裏側に大きなシジミガイのハヤミナらしき物があります。

3.

これは海生二枚貝のネズミノテガイっぽいです。う~ん、瀬林層下部だと瀕海成の存在は確認されていなかったと思うので海生種が共産する事はないはずなのですが…違う地層なのかもしれません?

一応岩相や化石、その産状から汽水域を示すのでおそらく瀬林層の下部層に当たるのではないかと思います。
ただ上にも出したようにネズミノテガイらしき海生二枚貝が混じっていたので違うかもしれません。

今回は以上になります。
では!