仕事で役所系の建物の中には何度も入ったことがありましたが、
地検の建物は少し勝手が違いました。
一般の建物に比べ、警備が厳重でした。
警察に先導された被疑者が廊下をひっきりなしに歩き回る建物ですから、
勝手に歩き回られると困るのだと思います。
受付で名前と検事の名前を伝え、
部屋番号を教えてもらい、
首からかけるタイプのカードを受け取り、中に入りました。
(どこの検事に誰が取り調べで訪れるのかを、
警備室はすべて把握している様子でした。)
受付を終え1階のエレベーターホールに行くと、
ここから特に先導などはなく、
自由に建物の中を歩くくことができます。
と言っても、本当にウロウロ興味深そうに歩いていると、
関係者から事情を聴かれる羽目になろうかと思います。
エレベータに乗り、目的の階につき、
指定された部屋に入りました。
逮捕時に連れてこられた部屋とは別の、少し広い部屋でした。
セキュリティーの問題もあり、
拘束されている場合とされていない場合では、
取り調べの部屋が違うのかもわかりません。
詳しくは覚えていませんが、数週間前に警察に連れてこられて取り調べを受けた部屋とは明らかに違う部屋でした。
私は傘立てに傘を置き、
「座ってください」と検察官に言われたので、
「昨日はすいませんでした、大事な仕事の用事がありましたので」
と謝りましたが、特に反応はありませんでした。
このように愛想のかけらもない検察官が
よく私を勾留せずに外に出させてくれたなと
とても違和感を覚えました。
とにかく、素直に話をし、反省を述べ、今後の生活を改めることを誓い、
後は検察官の判断に任せるしかありません。
ここでどんな言い訳をしてもありません。
不起訴、公判請求(正式裁判)、略式請求(罰金刑)
のどれかが今日決まり、それにより今後の人生が左右されることは分かっていましたが、
「正直に話すしかない」と開き直ることで、
妙に気持ちは落ち着いていました。