緊急事態宣言が出される少し前から数ヶ月に渡り幻聴が聞こえる事があった。

それは男の声だったり、子供だったり、若い女、おばさんなどバリエーションが豊富だった。

最初は隣の家の子供が話している声がやけにはっきり聞こえるな、と思っていた。

犬と2人で家に居るとドアノブをガチャ、と回して開ける様な音がして、階段をミシミシとゆっくり上がる様な音がする。歩く音に合わせて金属同士がぶつかるチャリチャリ、という音もする。そして扉がギイ、と開く音。そこまでをループで何回も繰り返して15分くらい聞こえた。私の家はドアが開く時電子音が鳴るし、階段もミシミシ言わないので違和感があり、人工的に作られた音が鳴っている感覚があった。なので全然怖くなかったがあれはなんだったのだろう?

それから電話で叔母と話す時だけこちらから話す声がエコーがかかったみたいになって聞きにくいと言われる様になった。ショップに持って行って電話を診てもらっても異常無し。電話をこちらで聞く時は人の声やコンコンと叩く様な音などの雑音が多くなった。

人と会って別れる時、相手がドアを閉めるとその人の声で「ブス」という声が聴こえる。その人は何年もお世話になっているカウンセラーなので、その人が言うことはありえない。

それから耳元で「変な人」という声がループで聞こえたり、私に向かって何か話している様な声がうっすらと聴こえたり、何か頭の中で考えるととたんに「うるさい!」と打ち消す様な声が聴こえることもあり、考え事や眠る事ができなくなる事が数日続いた。(その他にもラジオを聴いていたら声が二重に聞こえたり、上手く言えないが所々変な強調の仕方をしているように不自然に聞こえたりした。)

困り果てて病院に行って話をしたら、「眠れば治ります。睡眠導入剤を出しておきましょう」と言われて数ヶ月それを飲んだ。カウンセラーさんにそれを言ったら、「良いお医者さんに恵まれましたね。薬がそれだけで済んで良かったです」と言われホッとした。

頭の中で絶えず色々な声がするので、私もイライラして「うるさい!」と声を出さないとやっていられない状態になり、家族にも迷惑をかけた。家族は過去に私にした悪事?を必死に謝ってくれたり、家族で朝近所を歩いてたくさん話す時間を作ったりした。

そんな事があってから声はだんだんと弱まり、2ヶ月後には聴こえなくなった。

自分を大切にしてくれる人がいる事が治った決め手だと思う。思えばあれは低級霊の仕業だったのだろう。

マドモアゼル・愛先生が話していたのだが、統合失調症と診断された人に霊が憑いていて、霊媒師がそれを祓った後、霊が上の電気の方に逃げて行くのを霊媒師が見たそうだ。霊は「私たちは電気で移動してるのよ!」と捨て台詞を残して逃げて行ったそうだ。気の弱い霊が気の強い霊に脅されて手下となってしまうらしい。そういった低級霊の集団が孤独に陥った人を狙い撃ちして追い込んでいく。そういった事は身の回りにあるのだとわかった。

お世話になった医師の方からこんな話を聞いた。旦那さんは仕事バリバリで、子供たちは独立して一時的に孤独になった女性も幻聴に悩まされているそうだ。二部屋離れたアパートのよその家族の声がやけにはっきり聴こえたり、自分に向かって普通に話しかけてくる存在がいたりするそうだ。悪口を言うわけでなく良い事も言ってくるらしいが、私はそういう存在は信用してはならないと思う。最初は綺麗事ばかり並べていても少しずつその人を陥れていくような気がした。天使が話しかけてくるなんて、そうそうあるものじゃない。簡単に声が聴けるような存在はその程度のものなのだろう。私はその女性が他人に思えず、大天使ミカエルと大天使ラファエルと神に彼女に良き理解者が現れるように祈った。なかなか人に理解してもらえない様な話をしたが、当事者になってみないとわからない事はあるのだと思う。