ここで地下街というものをはじめて体験した。
浜松からはじめて上京してきた18歳の少年は、
何もかもが初体験だったのだが、
新宿という巨大な繁華街とともに、
その地下にある「サブナード」という大きな街の存在に驚いた。
1978年のことだ。
北新宿や、京王線沿線に住んでいたわたしは、
そのあと、5年間ぐらい、このあたりをよく歩いていた。
久しぶりに行ってみた。
70年代のシーンが何か蘇ってくるだろう。
地場スーパーの「三平ストア」のほかは、
何も覚えていなかった。
ほかのテナントはすべて入れ替わってしまったのだろうか。
半世紀近く前のことだ。わたしが憶えていないだけなのか。
靖国通りの地下、北側と南側の2列に80の店が並んでいた。
いまでは見知った店ばかりだ。
ガチャガチャの専門ショップもあった。
ついでに、「京王モール」も行って見た。
京王線沿線のアパートから神保町・駿河台に通っていたわたしは、
ここもよく通っていた。
蘇る。スタンドカレー。立ち食いそば。
新宿紀ノ国屋地下のさらさらカレーといい、
「しょんべん横丁」の立ち食いソバといい、
記憶にある新宿は、なぜか、そこからになってしまう。
食べてくだけが精いっぱいの貧乏学生が、
毎日の胃袋を満たせたところ、
だからだろう。



