河合塾、代々木ゼミナール。

大予備校といわれていた。

 

1978年。浜松市で育ったわたしは大学受験に失敗し、東京の代々木ゼミナールに入った。

出来損ないのわたしにチャンスを与えてくれた親に感謝。

 

何十年ぶりだろう。

行ってみた「代ゼミ」に。新宿の南、代々木にある本部に。

当時の建物はなかった。

いまは新宿駅の南側に高層ビルを建てそこを本部としている。

 

月謝を払った。でも、ろくに通わなかった。

親知らずも甚だしい。

9月、旧本部の1階で、大学模試の結果を受け取った。

普通の私立大学の合格率が4%だった。

やばい。

「代ゼミ」では、その瞬間だけを、鮮明に覚えている。

 

北新宿の3畳一間の下宿を引き払い田舎に帰った。

決めた。残り4カ月。

試験に出る英単語、試験に出る英熟語、山川出版日本史。

この3冊を丸暗記すると。ほんとうにやった。

「代ゼミ」は、学びの場でなく、この決心に至らせる役割を果たした。

 

1月2月と受験した。

有名私大に合格した。

 

合格したことによりも、参考書3冊の丸暗記で大学受験に通ることに、驚いた。

わたしのようなバカ者が。

 

大学志願者数のピークは1992年。代ゼミには500人以上が受講できる大教室があった。

人気の先生がいて、その授業は大教室がいっぱいになっていた。

しかし、18歳人口は92年の約205万人をピークに、現在は約110万人にまで半減した。

現在はどこも30人程度の小教室授業が主流らしい。

映像授業を受けるための個別ブース、自宅でスマホやパソコンで受講する方法も増えた。

人気の講師も変わった。かつて幅を利かしていたカリスマ講師でなく、いつも近くにいて親身になってくれる講師が人気になった。予備校に対かる価値観が変わってきているようだ。

 

学び方は人それぞれだろう。

一人っ子、鍵っ子で育ってきて、コミュニケーションが苦手なわたしは、いまも、おそらく、

参考書の丸暗記を選択するだろう。