人が少ない。

お客さんも、店員さんも。

品揃えは豊かだが、陳列は整然としてキレイ。

店舗面積もそれほど大きくない。

 

ノジマの上野マルイ店。

 

家電量販店は、ヨドバシやビックに代表されるように、

陳列商品が山のようにあり、店員さんがいっぱいいて、

お客さんも多くで、あちこちのテーブルで商談がされている。

そんな情景に見慣れていて、ノジマに行くと、

その静けさに意表をつかれる。

 

家電量販店の店員さんは、店の人よりメーカーからの派遣店員のほうが多い。

ところがノジマはメーカーからの派遣を入れていない。

電気店の社員として、自分の力で、お客さまの要望で応え、

すべてのメーカーの商品の価値を偏りなく伝える。

ディスカウント、売り込みを前面に出していない。

 

業績は大丈夫か。

実は、近年は、店内に人が少ないノジマがいちばん伸びている。

理由はいくつか挙げられているが、一番多いのは、これ。。

メーカーに頼らない、ひとりひとりが経営者感覚をもたせる売り方で

能力が高い人材が育っている。

さらにこれも大きな理由らしい。

多角化だ。

横に、近い業種の産業を取り込んでいく、

縦に、生産・調達、販売、サービス、といった機能別に存在している産業を取り込んでいく。

縦横に、遠くても電気製品に関連してくる産業を取り込んでいく。

だいたいこの3種類の新事業創造のことをいう。

ノジマは、このことに積極的で、いわば本業の家電の販売以外のところで業績を伸ばしている。

 

マーケテイングの仕事をしてきた隠退ジジイなので恐縮なのだが一言足す。

日本人は、欧米のようにスキルと人を入れ替えてしまう「革新」ができない。

侵されることのない島国で争うことなく「和」を重んじる人民として育ってきた。

なので、企業「革新」はできず、機能ごとに「改善」をひたすら続ける運営を続けてきた。

それが世界が驚嘆するモノ、サービスを生み出している。

でも、大陸の人たちは、侵し侵され続ける歴史に育ち、わが身を護る個人主義に立ち、

企業「革新」は容赦なく取り入れ、その結果、世の中に無かった価値を生み出し続ける。

日本人が、そんな大陸人と伍していくには、

前記した、新事業創造、多角化しかない。

仲間たち、伝統の技術、を切り捨てることは決してせず、ひたすら磨き続け、

でも、世の中に無かった価値を備えた新しいモノ・サービスは、模倣・応用によって、

その能力を持った人たちを取り込むことで、体内に取り入れてゆく。

つまり、多角化だ。

 

ノジマは、それをひたすら続けている。

個人的には、すごく共感する。