トランプが来た。高市が迎えた。

都心部の空には一日中ヘリコプターが舞っていた。

 

皇居のまわりを走るランナーもあまりいなかった。

規制されているのだろう。

桜田門あたりから国会議事堂や首相官邸のほうを撮ろうと思い歩いて行ったが、

桜田門が閉められ、皇居前広場側から出られなかった。

空を見るとヘリコプターが停止したまま空中に浮かんでいた。

 

マヌケだった。トランブと高市が話すのは迎賓館だった。

首相官邸ではない。

 

顔合わせ儀式のような会談だった。

アメリカ側は一切書類を持たず、日本の面々だけが書類をテーブルの上に置いていた。

アメリカ側は、その場で何を話すかは決まっていたということだ。

 

自民党総裁選の前、高市、小泉、林たちが、何を主張しているのか、ざっと見た。

最初に日本をこうしたいと語っていたのは高市と林だった。

自由民主党の総裁選は=日本国のリーダーを選ぶということだ。

なのでここでは、高度成長30年、失われた30年、

のあとの復活の戦略を語らねばならないはずだ。

消費者の関心が高い物価抑制や税制や社会保障から話すのはおかしい。

それは「具体的手段」の話でしかない。

戦略とは、

第一に、「ここにチャンスがある」(事実の分析、チャンスの探索)

第二に、「重点課題と目標はこうだ」(重点課題と目標の設定)

第三に、「そのための具体的手段はこうだ」(戦略・戦術の決定)

第四に、「それを展開する体制とスケジュールはこうなる」(実施・展開の保証)

の4ステップであり、

総裁選では、それを、日本国民みんながわかるように端的に表現しなければならない。

 

高市は冒頭にこう言い、その後、発足した新内閣の基本方針として明示されている。

「今の暮らしや未来への不安を希望に変え、強い経済を作る。世界の真ん中で咲き誇る日本外交を取り戻す。日本と日本人の底力を信じてやまない者として、日本の未来を切り拓く責任を果たすべく、絶対にあきらめない決意をもって、国家国民のため、内閣の総力を挙げて、以下の政策を推し進める。 1.強い経済の実現…」

彼女は、総裁選の前からこのことを一番最初に宣していた。

それだけで、この全体の重点課題と目標に触れていない小泉は負けていた。

 

でも「事実の分析、チャンスの探索」の部分が抜けているは甚だ不満。

それが語られてることで重点課題と目標、さらに戦略・戦術の妥当性、説得力が出るのに。

でも、重点課題と目標に触れただけ頭一つ出ていた。

 

あとは実施・展開力だ。

戦略は、計画でなく、実施・展開がすべてだ。

その肝心なところの勝負がこれからはじまる。