HUBという店がある。
ちょくちょく見かけるし、何度か利用したこともある。
英国風パブで、気軽に一杯飲める。
前払いだ。商品やサービスを受け取る際に、その場で代金を支払う。
キャッシュオンデリバリーという。
ファストフード、ショッピングセンターにあるフードコート、も同じ方式だ。
お客としては、気軽に、腹ごなし、ちょいと一杯、ができる。
店側としても、運営コストが低く抑えられ、注文間違い支払い時トラブルが起きず、
回転がはやく、メリットは大きい。
たとえば。
HUBでは、
ビールタンブラー700円、
看板のフィッシュ&チップス700円、
計1400円。
カウンターで支払って好きな席につく。
店内には大きなディプレイが設置されていて、
サッカーや野球を中継している。
地元チームの試合があると、店内はすごく盛り上がる。
キャッシュオンデリバリーは、西欧から入ってきたシステムだが、
日本にもむかしからあった。
「立ち飲み」「屋台」だ。
江戸時代の絵にも描かれている。
庶民に馴染んでいた。
テレビを観ていたら有吉が街で「立ち飲み」を見つけて
「角打ち」があると興奮していた。
浜松に生まれ、東京育ちの私としては、何のことだかわからない。
東京生まれ東京育ちのカミさんに聞いても知らないという。
調べてみたら、「角打ち」とは北九州の言葉で、
製鉄工場で働く人たちが酒屋の一角で立ち飲みできるところのことをそう呼んでいたらしい。
広島出身の有吉が言うということは芸能界や東京の一部で使われているということか。
ただ、昭和の頃は、酒屋は、奥で飲めていた。
買った酒と簡単なつまみで一杯やれていた。
65歳の酒好きには色濃く記憶に残っている。
立ち飲みとも、角打ちとも呼ばず、ただたんに酒屋飲みだった。
問題は、庶民的だった、前払い、ちょいと一杯のそんな国産立ち飲み屋
の姿が減ってしまったことだ。
隠退者のふところで気軽に一杯飲めるところがもっとあってほしい。
あらためて、探してみる。
以前から、立ち寄ったことがある店では、
御徒町の「北の笛」がそうだ。
小皿に盛られたいろいろなつまみから選び、酒を指定する。
支払って、好きなところでやる。
それから、人形町の「ちょっぷく」もそうだ。
「北の笛」と似たシステムだが、
「立ち」席はなく、すべてテーブルと椅子で飲める。
近所の本郷でよく見てみると、
「立ち飲み」は...
あった。
ここは「かもす」。
クラフトビールの店で、つまみは持ち込み自由だ。
最近は、200万円でクラフトビール醸造設備が付けられると聞いたことがある。
ここは「タウリン」。
カウンターのみの小さな店だが、丼物などの食事が中心だ。
メニューは絞ってでもいいから、
極端にいえば、現代風に、冷凍庫からつまみを出してレンチンして、
好きな酒を選んで、好きな席につく、
運営する側も、「ワンオペ」(一人で運営できる)でいける、
そんな現代版「立ち飲み」が業態として再成立しないものか。



