御茶ノ水橋から駿河台を下りると、靖国通りと交わる駿河台下交差点に出る。
そこから西側の靖国通り沿いに神田古書店街がある。
はじまりは1880年代。
古書店数400店。東京都内の古書の三分の一がここに集まっていると言われる。
世界最大の古書店街だ。
学生時代、社会人になってからも、よく通った。
なかでも駿河台下交差点にある三省堂書店には。
現在は、ようやく、新社屋への建て替えが進んでいるが、
1970年代80年代は、日本最大の書店と言われていた。
東京駅前に八重洲ブックセンターができるまでは。
三省堂の創業は1881年。はじまりは古書店だったが、辞典などの出版事業もはじめ、
国内最大規模の新刊本販売店となった。
なによりも、この本の街の真の価値は、
他所ではおいていない本が手に入るということにつきる。
本の宝庫だ。最近ではあらためて浮世絵が入手できる場所として注目されている。
たとえば、わたしは、学生時代、北アルプスなどの山に傾倒したが、
ここの「内外地図」に来れば日本中の白地図が手に入った。
それをもって山に行くのだ。
なぜここに書店街が発達したのか。
東京大学や一橋大学といった日本を代表する国立大学の発祥地と隣接していたこと、
その脇に小学館、岩波書店などの大手出版社が軒を連ねていたこと、
そして、明治大学、中央大学をはじめとする私立大学が多数創設された地であったこと、
など、「学び」の拠点が集中したことで、必然的に本の街となっていった。
歩いてみれば気づくと思うが、この街の古書店はみな建物が古い。
このあたりも米軍の空襲で甚大な被害があったのに、この靖国通り沿いの一角だけ被災を免れた。
米軍がここには貴重な書籍がたくさんあることを知っていて意図して空爆を避けたという説もある。
もうひとつ気づくかもしれない。
ここの古書店の多くは北向きに建っている。日光が当たって本が傷むのを防ぐためだ。
65歳になってもお世話になり続けている。
ありがとう。神田古書店街。