新宿の花園神社に行った。

社殿の前の木立の陰に紅色のテントがたっている。

妖しい。

紅テントと呼ばれている。

1967年8月からある。

状況劇場を率いる唐十郎の演劇場だ。

肉体すべてをつかって演じる独特な劇団だ。

わたしは観たことはない。

が、1978年に東京に出てきたときから有名だった。

そもそも紅テントは役者で夫人の李麗仙がキャバレーで金粉ショーを演じて稼いだ金でつくった。

1969年には新宿西口公園でゲリラ公演をして200人の機動隊に囲まれながら演じきった。

寺山修司らとともに暴力事件を起こしたこともある。

 

花園神社は稲荷神社だ。

江戸時代の前からここにあったらしい。

花園があったことが名前の由来だ。

いかがわしさで満ちた新宿に不似合いだ、

が、唐十郎、紅テントの存在によって、

妖しい新宿を象徴するかのような存在になったのかもしれない。

大沢在昌の最高傑作「新宿鮫 毒猿」のラストシーンもここだった。

やさぐれを気取った人たちが集まる新宿ゴールデン街もこのすぐ近くにある。