御茶ノ水駅舎の2階から神田川対岸が見渡せるようになった。

半世紀、縁あってこのあたりを歩き続けているが、

はじめてのことだ。

 

近年、東京のJR駅舎の作り直しが進んでいる。

渋谷、新宿はもとより、中野、この御茶ノ水もそう。

電車を止めず神田川の縁を作り直すためか、

ずいぶん長いこと工事している。

 

2階には広くなった聖橋口からはいる。

2階ベランダから神田川対岸を眺める。

右(東)から湯島聖堂、東京科学大学、順天堂。

その全貌がはじめて見られるようになった。

 

湯島聖堂(昌平坂学問所)は、江戸時代は徳川幕府の教育の本拠地だった。

 

東京科学大学は、明治時代は全国の教員養成機関である東京師範学校、

戦後は、東京医科歯科大学(のちの東京科学大学)、

東京教育大学(のちの筑波大学)、御茶ノ水女子大学に替わり、

現在この地には東京科学大学だけ残っている。

 

順天堂大学は、江戸時代天保年間からの歴史をもつ。

「仁」をポリシーとし、漫画やテレビドラマでも話題になった。

東京大学医学部はここの院長が主導してはじまった。

 

まさに、中世から近代にかけて、

日本の教育の先駆けとなった学び舎が並ぶ景色だ。

 

新しい御茶ノ水駅舎はまだ完成していない。

2階だけが先行オープンした。

カフェの猿田彦珈琲、生産者産直のFARM8STAND、まい泉食堂、

などが入居している。

大きな建物ではないが座れるところもあちこちにある。

 

これからは休憩スペースとしてせいぜい利用させてもらおう。

 

これで御茶ノ水駅はふたつの顔を持った。

新しい令和の、大きくなった聖橋口からの駅舎。

昭和のままの、レトロ観漂う御茶ノ水橋口からの駅舎。