まだ若かった北野武、明石家さんま、島田紳助。

彼らの「俺たちひょうきん族」が、

70年代ずっとトップを走り続けてきた

ドリフターズの「8時だよ全員集合」を破った。

80年代になると、

タモリの「笑っていいとも」が日本のお昼を席巻した。

そして、80年代、90年代、テレビは、

フジテレビが王者として君臨した。

みんな「フジっ子」だった。

 

新宿駅東口のスタジオアルタの前に立つ。

懐かしい。ここが開業した1980年の頃はよく来ていた。

いまは何も映されていない「アルタビジョン」を、

いまもたくさんの人が見上げているように見える。

「笑っていいとも」は毎日ここで収録されていた。

いまはじっと解体を待っている。

正確には、ここで上を見上げている人たちは、

スタジオアルタの隣にある「クロス新宿ビジョン」を見上げている。

猫が立体画像で下を見下ろし動いている。

 

フジテレビの黄金時代に現場で働いていた人たちが、

幹部になって、間違った。

過ちを犯した有名タレントを罰せず、

虐待を受けた女性社員を適当に慰めた。

昭和の感覚だった。

「俺たちひょうきん族」や「笑っていいとも」を楽しんだ「フジっ子」たちも、

けしからんとフジテレビを攻撃した。

当然だろう。

でも、それは、

その時代を生きてきた自身の否定にほかならない。

非難してもいいが、ひと言でいいから、

自身を振り返っての反省の弁もつけるべきだ。

自分も人権軽視の空気の中で生きてきたと。