ここは東京か。
「育徳園」。通称「三四郎池」。
何度来てもそう思う。
元加賀藩屋敷、現東京大学本郷キャンパスにある。
大都会の喧騒から遮断された、高い木々に覆われた森のなかの、静かな池
夏目漱石の「三四郎」では、
ここで熊本から上京してきた三四郎と、
東京生まれの美禰子が出会う。
三四郎が美禰子に振り回される日々が描かれる。
三四郎は夏目漱石の弟子の小宮豊隆、
美禰子は女性運動家の平塚雷鳥、がモデルだ。
「三四郎池」から本郷菊坂を下ったところに「右京山」という場所があり、
ここで、矢野正五郎の弟子姿三四郎と檜垣源之助が決闘した。
矢野は右京山の前にある講道館主の嘉納治五郎、
姿三四郎はその一番弟子の西郷四郎、がモデルだ。
富田常雄が創りだした。
つまり本郷には2人の「三四郎」と言う名前の有名人がいる。
いずれも明治末期を舞台とした実在者をモデルにしたフィクションだ。
かたや純文学、かたや冒険小説、の先駆けとして。
恋愛も冒険と捉えるならば、いずれもアドベンチャー小説なのかもしれない。
「三四郎」は知っているが読んだことはない。
「姿三四郎」も読んではいない。が、映画は一部観た。
黒澤明の初監督作だ。
想像していた姿三四郎とはだいぶ違う西郷隆盛似の藤田進が演じていた。