本郷菊坂を下ったところに「右京山」という場所がある。

富田常雄の書いた「姿三四郎」で、

姿三四郎と、柔術家檜垣源之助が決闘した場所だ。

 

姿三四郎の師匠は矢野正五郎。モデルは嘉納治五郎。

姿三四郎は嘉納治五郎の一番弟子の西郷四郎がモデルだ。

柔道の開祖嘉納治五郎の開いた「講道館」は、

この「右京山」の前にある。

いまでも講道館のまわりは世界中のファイターたちが歩いている。

 

講道館は東京ドームシティの隣にある。

東京ドームシティには後楽園ホールがある。

後楽園ホールは格闘技のメッカだ。

プロレス、ボクシング、柔道、空手などなどの試合が日々おこなわれている。

 

本郷から東京ドームのあたりは、

「野球」や「サッカー」のずっと以前から、

「格闘」の聖地だった。

 

柔道をやっていたことがある。

といっても高校時代の数カ月。

腰椎分離になってやめてしまった。

姿三四郎の得意技は「山嵐」。

「山嵐」は背負い投げと体落としを合体したような技で、

比較的よくつかわれている。

たった数カ月の経験で、言えたものではないのだが、

柔道は、相手を、前後上下左右に動かし、

それに抗う力を利用して、投げる、ひっかける。

 

この間合いの取り方は、交渉ごとすべてに通じる。

相手の言動を引き出すことによって機会が生じるということだ。

わずかな時間の経験だったが、学べたことは大きかった。

 

老いわたしでも、たまには闘魂が湧くこともある、

が、からだがついてゆかない、無理が効かない。