文京区本郷に住んでいる。

本郷は文人がたくさんいた。

樋口一葉、谷崎潤一郎、宮沢賢治、菊池寛、石川啄木、

夏目漱石、芥川竜之介、正岡子規、竹久夢二、宇野千代、

坪内逍遥、大杉栄、坂口安伍、佐藤春夫、若山牧水、石川淳、

久米正雄、直木三十五、宮本百合子、尾崎士郎、徳田秋声...。

こんな人も住んでいた。

幕末に、新選組の三番隊組長として、いちばんたくさん人を切ったと言われる

齋藤一。

二枚目だ。

土方歳三、沖田総司...。新選組の剣客たちは整った顔立ちが目立つ。

小説、漫画でよく描かれていて、

私らのような60代以上が司馬遼太郎などの作品を通じてよく知っているだけでなく、

いまの若い人たちも、ちゃんと語れる。

斎藤一は、最近では、「るろうに剣心」で江口洋介が演じていた。

 

これは斎藤一が最初に住んだ本郷の住居跡。

のちに東大教授で「名探偵金田一耕助」のモデルになった金田一京助が住み、

石川啄木もここに間借りしていた。

斎藤一は明治維新後は警視庁に勤め、本郷警察署(現元富士警察署)にいたが、

この家の前には、いまも元富士警察署の社宅がある。

これは、ここのすぐ近くで、間をおいて住んだ家のあたり。

たぶん、金田一京助、石川啄木だけでなく先に挙げた文人たちともすれ違っていたはずだ。

 

新選組は、実際の戦闘の技術「戦術」に長けていた。

たとえば、薩長土の志士たちを切る際は、5~6倍の人数で囲んだ。

斎藤一が言っている。

切りあいに、剣法、流派の技術は通用しない、その場その場での、無我夢中での判断だ。と。

 

戦う技法には、「戦略」と「戦術」がある。

 

「戦略」とはこんな要件から成立する。

長期 中長期で考える。5年、10年。

集中 絞り込んだチャンス(重点課題)に集中する。

統合 各機能(技法)を組み合わせる(連結する)。

革新 これまでとは違う新しいしくみ・方法を採る。

執念 あきらめない。強いマインドで推進する。

 

対して「戦術」はこうなる。

短期 短期で考える。その都度考える。

汎用 広く使う。使えるところで使う。

個別 各機能においての独立したノウハウ。

経験 これまでの経験を活かす。

技術 TPOに合わせて使う。

 

日本は 革新せずに 修正する

 

日本人は、世界で唯一、調和、平和の「和」を最重視する。

なので、調和を乱すことになる新しいことは避ける。保守が本道となる。

戦略の要件のひとつ「革新」は意識しても大きな行動にはなりにくい。

「革新」が志向されにくいと、計画も「長期」になりにくい。

様々な機能を一斉に変えていく「統合」の行動にもなりにくい。

つまり、日本では、

「長期で大規模な革新」は起こりにくく、

「短期で小規模な変更・修正が積み重なるという革新」が起こるということになる。

だから、日本は、世界が賞賛する技術、匠の国、武士道の国になっている。

そう思う。