これは弾痕。
1945年、米軍の戦闘機から発射されたものだ。
神田川にかかる神田橋にいまでも残っている。
本やネットで見るよりも、
実際にそこに行って、見て、触ると、生々しく、
戦争の怖ろしさが、ジワジワと胸に迫ってくる。
黒ずんでいるのは焼け跡だ。
焼夷弾が焼いた。
麒麟の翼の日本橋にも焼夷弾の跡は残っている。
焼夷弾は人を殺戮するためにつくられた。
ベトナム戦争時は、その原材料からナパーム弾とも呼ばれた。
フランシス・コツポラの「地獄の黙示録」の映像が印象的だ。
これらの米軍の攻撃で、東京は、1945年2月、1日で10万人が虐殺された。
原爆で、広島14万人、長崎7万人が殺戮されたわけだが、
1日の空襲で、それに匹敵する人殺しがされた。
米軍の司令官は「戦争を終わらせるためにやった」と言った。
パールハーバー、南京大虐殺の報いだ、とも聞こえた。
指先で 弾痕、焼け跡 触ってみる
広島の原爆ドームもそうだが、人間の愚かさは、こうして生で遺して、
いつの時代もずっと五感で体験できるようにおくのが大事だ。
文字、記念碑、画像だけでは、その戒めは薄れていく。
日本人は、なぜこんなとりかえしのつかない大失敗を犯してしまったのか。
野中幾次郎はこう言っている。
・非科学的で主観的・精神的な空気だけだった。
・長期の目的の戦略がなく、短期に済ますことだけが優先された。
・評価が、プロセスや動機ばかりが重視され、結果に対しての振り返り、責任があいまいだった
すべての組織運営に共通して適用できる戒めの大原則だろう。
過ちを繰り返さないためには、
肝に銘じるだけでなく、
実際に、弾痕、焼け跡を、五感で体感するのが大事だ。