小麦と糖分を控えなくてはならない親戚へのお土産のひとつとして、
煎餅を買いに、
近くの谷根千に行ってきた。
谷中の大黒屋。
根津の八重垣煎餅。
千駄木の菊見せんべい。
それぞれのブランドを比較評価してみよう。
まずは店構えと接客から。
これは谷中の大黒屋、
レトロ感あふれる古い佇まいがいい。
優し気なおばあちゃんが一人で炭火で手焼きしている。
ばら売りはない。
5枚入り1袋750円。
これは根津の八重垣煎餅、
ここは不忍通りのマンションの1階だが、上に暮らしていた立川談志がここの煎餅の大ファンで、
かかっている暖簾も談志の書だ。
よく話すじいさんがそれらのことをすべて語ってくれる。
ばら売りはない。
4枚入り1袋450円。
久助(割れ煎餅)はある。1袋250円。
これは千駄木の菊見せんべい。
千駄木のランドマークのひとつともいえる見栄えのいい店構え。
とくに丸看板がシンボルマークとなっている。
ここは東京名店100選に選出されている。
感じの良いオジサンが接客している。
ちゃんとばら売りがある。
1枚120円。
商品をみてみる。
三つ並べるとこうなる。
見た目では、四角い菊見せんべいが断然目立つ。
これもシンボル、ブランドといえるだろう。
味はどうか。
醤油味で比較してみる。
谷中の大黒屋は、堅い、こうばしい、醤油の濃さもちょうどいい。
根津の八重垣煎餅は、軽い、醤油の濃さも控えめ。
菊見せんべいは、堅め、やや醤油が濃い。
かみさんと、娘に選んでもらった。
谷中の大黒屋が選ばれた。
人それぞれの好みで分かれるのだろう。が...
米国のデービット・アーカーは、
ブランド資産の構築には4つの価値(便益)を備えなくてはならないとしている。
第一に、機能的便益(品質、技術がもたらす価値)。
第二に、情緒的便益(好感をともなうイメージ)。
第三に、自己表現的便益(自己実現、キャラクターを補完する価値)。
第四に、相対価格(以上の3つの便益のうえで市場環境で納得する価格)。
また、わたしは、仕事をしているとき、
ブランドの強さをAMTULという5段階で調査・測定していた。
Aアウエネス 認知(知っている) 〇〇のなかで知っているのはこれとこれ(助成想起)
Mメモリー 記憶(よく知っている) 〇〇と言ったらこれ(純粋想起)
Tトライ 経験(購入したことある) 買ったことある(トライ)
Uユースィジ 採用(購入している) いまもときどき買っている(リピート)
Lロイヤル 愛用(最も購入している) いつもこれに決めている(ファン)
ブランドを強めようとしたら、
いまそのブランドが他ブランドと比べてどの位置にいて、
どこを上げる施策に集中するかを決めて、
ひとつひとつ進めていく。
谷中の大黒屋は、いちいちこんな面倒なことをして選ばれたわけではないが、
かみさんと娘は、機能的便益(味)を中心に、
なんとなくこんなことも思いながら選んだはずだ。
ブランドは 機能と情緒 自己表現