2024年1月12日金曜日。午後。

人形町の「柳屋」に行ってきた。

これで「目で鯛やき巡り」最終回だ。

 

「柳屋」は三度目。

一度目、開店時間を調べず早く行き過ぎて断念。

二度目、二十数名の行列におそれをなして退散。

そして三度目、行列を耐える覚悟でトライ。

 

大行列 でもすぎ買える たいやき屋

 

27人のお客さんが待っていた。

店の前では、買ったばかりの何人かのお客さんが、

出来立てのたいやきをおいしそうに食べている。

ん...2個とか3個とか、そんな買い方だぞ...、回転はやいかも。

 

28番目だったのに20分で買えた。

1~3個の「立ち食い」お客が多いのだ。

ときどき地元客だろうか「10個」の注文もあったが、

どうも予約扱いで後で受け取る...そんな対応の用だ。

値段は180円。安い。

 

この人形町「柳屋」、麻布十番「浪花家」、四ッ谷「わかば」は、

「東京三大たい焼き」と言われていて、わたしからしたらすべておいしい、のだが、

味の評価はネットで語る「グルメ」さんたちにまかせるとして、

需要と供給方法の違いはよくわかった。

まず多様なお客に購入数を聞いて〇分後出来上がりを伝える麻布十番「浪花家」、

10個以上の土産需要がほとんどだが予約をとらず長い時間その場で待つ四ッ谷「わかば」、

そして、1~3個の即食需要が多く大行列でも早く提供してゆく人形町[柳屋」だ。

 

家で食べた。

おいしい。

甘さを抑えたあんこが尾っぽまではいっている。

皮は薄いがしっかりしている。

「浪花家」「わかば」との味の違いは、焼きが強くて香ばしい点かな。

実際、店の前から中にかけてずっと皮が焦げるにおいがしていたし、

焼き上がりをみると、みみの部分はかなり焦げていて、

はさみでその部分が切落されて提供されていた。

 

「目で鯛やき巡り」はこの「柳屋」を最後に計10店でひとまずおわる。

そこで比べていちばんおいしかったたい焼きを選出してみる。

前記したが味の評価はネット上にいっぱいいる「グルメ」さんたちに譲る。

わたしは、ちょっと理屈っぽくなるが、こう見て評価する。

一番目。「おいしい」。品質的便益。

二番目。「見た目、接客がいい感じ」。情緒的便益。

三番目。「こんな自分になれた」。自己表現的便益。

四番目。「すぐ買える」。利便的便益。

五番目。「値段がいい」。相対価格。

家にお邪魔したことがあるブランド論の先生デビット・アーカーの理論に、

四番目「利便」を足したものだ。

結果。

1番。浪花家。

2番。柳屋。上野たいやき。写楽。根津のたいやき。

「おいしい」の品質的便益だけで評価したら

あんこのおいしさと量の多さと薄皮のかたさ加減で四ッ谷「わかば」になるが、

脚がかたまるほど外で長時間待たされたので「すぐ買える」の利便的便益で大減点。

バランスのとれた品質、まず個々に焼き上がり時間を伝えるしくみ、

そして店主のにっこり笑顔と「ありがとうございました」のひと言、

の「およげたいやきくん」の元祖たいやき屋さん「浪花家」を一番に推したい。