2023年11月16日木曜日。快晴。

巣鴨の染井霊園を行ってきた。

初めての場所だ。

 

高村光雲がつくった上野の西郷さんの像に魅せられているわたしは、

地図をながめているうちに、

その高村光雲のお墓が染井霊園にあると知り、

行ってみることにした。

 

西郷隆盛は写真を一枚も撮らせなかった。

なので、残っている絵、像はすべて想像の産物だ。

しかし、日本人の西郷隆盛像は、

高村光雲がつくった上野の西郷さん像によって定着したといえる。

風になびく着流し姿で犬(ツンという名のようだが)を散歩させている

あの庶民的で親近感を感じる西郷さんだ。

高村光雲は、西郷さんを模したのではなく、創ったのだ。

すごい芸術家だ。

 

西郷を 創った光雲 染井眠

守られて ソメイヨシノの 大木に

 

霊園はこころがやすらぐ。

谷中、雑司ヶ谷がそうだったように、ここ染井でも。

日本の桜といえばソメイヨシノ。

そのソメイヨシノ発祥の地だけあって、

染井霊園はソメイヨシノの大木たちに囲まれている。

その様は 霊たちを守っているかのようだ。

 

この染井霊園にも、たくさんの偉人たちがねむっている。

巣鴨とげぬき地蔵の側から霊園にはいってゆくと、

外人墓地に出会う。

さすが都営霊園。

日本では教会の墓地にでも行かなければ外国人の墓地を拝むことはまずない。

とくに「東洋のナイチンゲール」と呼ばれたローダスカ・ワイリックの墓が目立つ。

日露戦争時、たくさんの日本兵を看護した人のようだ。

 

あった。高村光雲の墓が。

高村光雲といえば、木彫りの国宝「老猿」も印象に残る作品だ。

勇ましさ、迫力をすごく感じる。

老猿が鷲と格闘して倒したときの姿のようだ。

あちこちにある像は、対象を模した、という感じるものがほとんどだが、

高村光雲の像は、その対象のもつ生命力、こころを、きちんと感じさせてくれる。

ちなみに、皇居にある楠木正成像も高村光雲の作とされているが、

実際は、光雲は、頭の部分だけつくり、

あの像でもっとも強さを感じさせる馬は、光雲の弟子の後藤さんがつくったそうだ。

光雲は、その弟子たちも、みんな実力者たちのようだ。

子供の高村高太郎もそのひとり。