日本橋人形町に、煎餅とべったら漬けを買いに行った。

こんど浜松の方々へ東京土産として持っていく候補として。

まずは試食して、おいしかったらまた買いに来る。

 

日本橋人形町までの道のりは、南東方向、本郷の我が家から歩いて1時間10分程度。

まわりをオフィスビルで囲まれながら、東京のむかしの風情を残しているこの一角は、

何度来ても、気分が和らぐ、この地に足を踏み入れたとたん、歩きがゆっくりになる。

時間の進み方がまわりと違っているように感じる。

近年は、東野圭吾のミステリー加賀恭一郎シリーズであらためて脚光を浴びている。

 

それにしても、ここ人形町は、人形焼、すき焼き、せんべい屋、鳥屋、漬物屋が多い。

個人的には、いちど、メインストリート水天宮通りで旧く渋い木造家のまま営業している「日山」で、

ステーキほどに分厚いすき焼きを食べのが印象深い。もちろんご馳走してもらってだが。

 

なんのひねりもない、見たまんま駄句だが...

人形焼 すき焼きせんべい べったら漬

合いそうだ ワインやぽん酒 べったら漬

 

その加賀恭一郎もドラマのなかで立ち寄っている煎餅の「草加屋」にわたしも訪れた。

人形町から東隣の浜町のほうに伸びる通称「甘酒横丁」沿いにある。

入口脇で、店主だろうか、手焼きで煎餅を焼いている。おいしそうだ。

店の真ん中には、

「TBSドラマ「新参者」であまから屋の煎餅として登場した手焼き煎餅」

「噺家三木助師匠が金庫に隠したせんべい」

と書かれたPOPが掲出してある煎餅がざるに載せられている。5枚600円だ。

抜群の説得力だ。買うつもりではあったが、思わず手が伸びる。

その横には「勘三郎が愛した煎餅」おこげ5枚600円。

こっちは歌舞伎役者だが、これも買いたくなる。が、今回はやめておいた。

 

いったん人形町のメインストリート水天宮通りに戻り、水天宮のほうへすこし歩くと、

「わしや」がある。漬物の店だ。とくに「べったら漬」で有名だ。

ひとつ500円。

きょうは試食のための購入だから、その脇にあった切落し400円を買った。

 

家には昼前についた。

 

昼食時に、さっそく「わしや」のべったら漬を食べた。

大根を、塩、砂糖、こうじで漬けてある「べったら漬」は東京ならではの漬物だ。

すこし甘く、しょっぱく、こうじの香りがする。しっかりした味でいて、やさしい。

決めた。これ。浜松へのお土産のひとつにしよう。

人形町では年に1回「べったら市」も開催している。

 

食後に「草加屋」の煎餅も食べた。

醤油が中までしっかり沁みている。

いまの風潮からすると、やや濃いのかもしれないが、

まさに、これが、むかしからの醤油煎餅、という感じがして、いいではないか。

これも、浜松へのお土産のひとつにしよう。