暑いがいい天気だ。もしかして見えるかも...。
文京シビックセンター25階の展望ラウンジにのぼった。
富士山が見たかった。
わたしは静岡県浜松市で育った。
三方ヶ原台地の縁に建つ小学校の校舎から富士山がみえた。
東京には「富士」の名前がつく場所や坂が多く、
むかしから富士山への愛着が強かったことが想像できるが、
わたしも、そんな体験を経てきたためか、富士山をみると心が落ち着く。
富士山を 見つけて心を 落ち着かす
あれこれと 思いふくらむ 展望台
25階でエレベーターを降り、南東方向からみていく。
文京シビックセンター展望ラウンジは、南以外の、東西北が望める。
皇居をはじめ、千代田区・港区・渋谷区などがある南側は、望めない。
なぜかわからない。
これが南東方向の写真だ。
暑い季節は空気中に水蒸気が多いせいか、もやがかかったような状態が多く、
遠くまでは見通しにくいのだが、きょうは比較的よくみえる。ラッキー。
手前に東京ドームシティの一部、右手奥に大手町・丸の内の高層オフィスビル群、
中央に御茶ノ水の順天堂大学、東京医科歯科大学などのビル群が見える。
そして...。娘夫婦が住む江戸川区センターがある船堀の展望タワーまで、ビル間に小さく見えている。
左へずれてゆく。つまり、東、北、西へとめぐってゆく。
手前に、我が家のある本郷台地がみえる。
本郷も、春日通りを挟んで南側は商業地域のため高いビル、マンションが多いが、
北側は、戸建て中心の住宅地になっている。大きな邸はない。
気取りのない、落ち着いた、馴染みやすい、そして歴史的背景が豊富にある、いいまちだ。
本郷の街の向こうには、東大の緑が見え、不忍池まわりの高層マンション、さらに上野の緑が見え、
奥には、浅草の向こう、押上のスカイツリーがのぞめる。
さらに左、北東方面へ。
日暮里の2本の高層マンションが見える。
中央奥には、筑波山がのぞめる。
行ってみたい。筑波山から眺める東京はどんなものなのか見てみたい。
冷房が効いている。窓際の天井の通気口から噴き出す冷気で、だんだん下半身がしびれてきた。
わたしは脊柱管狭窄症で冷気や風を長時間受けると、下半身中心に痺れ、ひどいときはつってくる。
北を眺める。
シビツクセンターの北隣にあるオフィスビルと高層マンションが目の前にあり、
左には小石川植物園がみえる。「赤ひげ」がいるところだ。
古い映画なのに黒澤明の映画はいつ見ても迫力がある。
山本周五郎の描いた赤ひげとはまた違った味がある。三船敏郎も本来のキャラが生きていた。
こんど入園してみよう。500円ではいれるそうだ。
西へとすすむ。
奥に池袋の高層ビルが見える。
昨日は61年ぶりに西武百貨店がストライキをしていたが、きょうは営業しているだろうか。
わたしが10代・20代のころは、頻繁に労働争議が行われていた。
最近は、珍しい。
さらに左へ。
手前に中央大学理工学部がみえる。
その左向こうには凸版印刷の本社ビルが青い姿をみせている。
ここには印刷博物館がある。最近、テレビ番組で紹介していた。
こんど行って見よう。300円で入れるそうだが、撮影は禁止らしい。
その左をみる。
新宿の高層ビル群がみえる。東京都庁もみえる。
そして、都庁のすぐ左に、きょうの目的、「富士山」が見えた!
よかった。すごくうれしい。
静岡県浜松市の三方ヶ原台地の上の校舎から毎日のように眺めていた富士山より大きい。
浜松より、東京のほうが、富士山に近いのだ! 富士山は静岡県なのに!
ありがとう富士山。
南西方面をのぞむ。
手前に、後楽園の緑があり、その左には東京ドームの一部が覗いている。
左手奥には、渋谷方面のビル群がある。
ここは、東京、関東近辺について思いを巡らすには、うってつけの場所だ。
スカイツリーとか、東京タワーとか、東京都庁とかのほうが遠くまで望むことができるのだろうが、
ここは、見物客が少なく、静かで、落ち着いて、ゆつくり過ごすことができる。
そのぶん、思いが、深まり、膨らみ、拡がってゆく。







