茗荷谷の坂を歩いた。
「坂の上の雲」シリーズの6回目だ。
8月も終わろうというのに暑すぎる日が続いている。
ただ、湿度がすこし低くなったためか、日陰を選べば、これまでよりは過ごしやい。
丸の内線の茗荷谷駅から南へ下ってゆく。
クルマ一台がなんとか通れる道幅の坂道だ。
その細道の左右にもっと細い小路が枝分かれしているが、その多くが急坂だ。
建っている家々も、戸建てもマンションも小ぶり。
小さな住まいが多い本郷に住むわたしとしては親近感が湧く。
茗荷谷駅付近の「茗荷谷」という地域は、
春日通りが谷上を通り、北側と南側の斜面に住宅地が広がっていて、
北側斜面は大きな邸が多い「小石川」、
南側斜面は小ぶりの家が密集している急坂の街「小日向」(こひなた)、
という町なのだ。
急坂 細道楽し 茗荷谷
やがて右に拓殖大学がみえてくる。
急坂、細道、小ぶりの家の密集地、という地域のなかで、
拓殖大学は大きなキャンパスを有している。
その門の前に、思わずたちどまるユニークな内容の案内板がある。
「縛られ地蔵」。
盗られたりなくなったりしたものを取り戻したいとき、この地蔵を縄で縛ると願いが叶うそうだ。
このような伝説、ほかの地にもあったように思う。
たしか「大岡越前」にもでてきたような...。
面白い話だがなんとなく物騒な感じもある。
この近くには「切支丹屋敷」といって江戸時代に外国人宣教師が収容されていた跡もある。
これも心地よい話ではない。
茗荷谷駅から降りてきたこの細道の坂を「茗荷坂」という。
この地の名前「茗荷谷」をくだる坂ということだ。
むかしはこの地に茗荷がたくさん生えていたようだ。
さらに降りてゆく。
「新渡戸稲造」旧居跡の案内板が出てくる。
あのお札の方も、この急坂に住んでおられたようだ。
きょうはここまで。
こんどの「坂」は、隣の「音羽の坂」にするつもりだ。







