きょうは牛込台地の東端の「神楽坂」だ。

「坂の上の雲」シリーズの5回目になる。

 

このあたりは、江戸時代、江戸城の外堀の曲がりどころで「飯田濠」と呼ばれ、

「牛込揚場」「神楽河岸」とも呼ばれていたようだ。

神田川が開削され、江戸湾から隅田川、隅田川からこの飯田濠海まで船が上ってきた。

全国各地から運ばれてきた米、味噌、醤油、酒、材木などがこの牛込揚場・神楽河岸で荷揚げされたようだ。

江戸の西側、つまり牛込台地の東端に位置するここは、

百万都市の江戸の半分を占める台地の上の人々にとっての重要な物流拠点だったのだろう。

これが牛込揚場・神楽河岸の碑だ。

 

これが「神楽坂」の入り口。

「神楽坂」の由来は、諸説あるが、

この坂の右側に高田穴八幡があり、祭礼で神輿が通るときに神楽を奏したから、という説がある。

 

これは神楽坂の一本北隣の坂「軽子坂」。

牛込揚場・神楽河岸で荷揚げされた物資を背負って運んでいく「軽子」が

行き交っていたことから名づけられたようだ。

その「軽子坂」には、「ギンレイホール」という名画座映画館がある。

わたしが学生だった40年以上前の姿と何も変わっていない。

いまは閉館してしまっているようだが、コロナ禍も過ぎたことだし復活願う。

 

神楽鳴る 牛込揚場 軽子ゆく

そそられる 脇道小路 神楽坂

ショーケンが 飛びたしそうな 小路店

 

神楽坂には飲食店や小売店がたくさんある。

ただ、メインストリートに並ぶ派手目の看板の店たちよりも、

脇道、小路に覗き見える地味な小店のほうが魅力的だ。

落ち着ていて品があって、こじんまりしていて...、吸い寄せられる。


ある小路では、ひっつめ髪に前掛け姿の女性が店を開ける準備をしている。

華街神楽坂らしさだ。

細い路地、つづく黒板塀、のぞく墨文字の白看板、向こうに高いビル...

そんな景色もこの街ならではだ。

高層ビルと小店たちのコントラストが、なんともいえなく、いい。

「前略おふくろ様」の板前姿の「ショーケン」が飛び出してきそうだ。