1978年。浜松から出てきたばかりのわたしは、新宿のアパートで、毎日、
「ニキニキニキニキ二木の菓子、菓子現金問屋二木の菓子」とさけぶ林家こん平のラジオCMを聴いていた...。
しょっちゅう、二木の菓子のすぐ近くにある中田商店に行って革ジャンやミリタリーファツションも眺めてた。
わたしのアメ横体験のはじまりだ。
二木の菓子 中田商店 アメ横は
ありがとう ワクワクさせて 二木の菓子
今回はアメ横二木の菓子だ。
ここは、昭和のころからまったくプレていない。
店頭の催事エンドにはスーパーではほとんど見られない二木の菓子ならではの商材が並び、低価格で販売され続けている。
たとえば、これ、「いかとんび」。
いかのくちばし部分を干して味付けした菓子だ。菓子というより乾物、珍味か。
一般的な菓子売場ではほとんど見かけないし、エンド催事に並ぶことなどまずないだろう。
ゼリーもそう。大手菓子メーカーのゼリー商品ではない。果実の手作り感たっぷりの高価格の本格ゼリーだ。
こんなものはスーパーは仕入れもしないだろう。
これもそう。「有機栽培の干し芋スティック138円」。
63歳のわたしは思わず手が伸びる。
定番売場に品そろえされている商品も、二木の菓子ならではのものばかりだ。
しかも、人出不足の昨今ではすっかり見られなくなった、商品の価値を語る手作りPOPがあちこちに掲出されている。
たとえば、これ、「バンザイ山椒240円」。
手書きで「リピーター増えてます。辛いものが好きな方だけでなく、辛いものがあまり得意じゃない方でも...」と価値メツセージがあり、手描きのイラストも添えられている
たとえば、これ。「コンポアー299円」。
「SNSで話題の食べられる色紙。なくなり次第販売終了」。
こどものころ親しんだ駄菓子を思い出す、怪しい謎の商品だが、いまの若い人たちの間では話題になっているのだろう。
あと。ここは、輸入菓子もむかしから充実している。
わたしが東京に出てきたころは、輸入菓子はここアメ横の二木の菓子か銀座のソニープラザだった。
とにかく、ワクワクする、ここは。
効率化、省力化、売れ筋への品揃え絞込み...、の流れの中、
この二木の菓子の、ほかにないものばかりを豊富に品揃え、低価格、価値メッセージ、の展開は、
際立って見えてしまうのは、わたしだけだろうか。






