前回からはじめた文頭の「五七五」。二発目はこれだ。
まえデンキ いまは世界の オタク基地
さぁ「秋葉原」だ。正確には「神田秋葉原」、「外神田」ともいう。
伊達政宗が本郷台地を掘って通した神田川の北側だ。
なぜ「秋葉原」と言うのか。江戸は火事が頻繁に起こったが、防火の神様として有名だった「秋葉神社」をここに祀ったからのようだ。ちなみに秋葉神社の本宮は、静岡県西部地方の天竜川の上流地域にある。わたしは浜松に生まれたのでなじみがある。
第二次大戦後、焼野原になっていたここらあたりは闇市が建った。この北にある「アメ横」と同じだ。ただし、この秋葉原では電機の部品を売る店が話題になり、おのずと電気部品を取り扱う店が集まってきて、やがて、日本最大の電気用品の街「秋葉原」を形成するに至る。
最初は、小さな電気部品店の集まりだった。それが、やがて電気製品の大型量販店ばかりになってくる。
あれは1990年代だったと思うが、マイクロソフトを創業したビル・ゲイツがこの街を訪れ、「ウィンドウズ」をアピールした。そのとき立ち寄った店が、当時日本最大規模といわれていたデジタル製品の販売店「ラオックス秋葉原店」、いまの「AKIBAカルチャーズZONE」だ。思えば、あのころから秋葉原は変わりだしたように思う。電気部品や電気製品などのモノの街から、デジタルのしくみやバーチャル空間を取り扱うコトの街へと。
今回は、「秋葉原」という、以前紹介した「アメ横」、それから「浅草」とならんで、日本でもっとも外国人が集まっている国際都市街の外面をほんのすこし触れるだけでおわる。この街を語ろうとしたら、わたしのようなオタクでない、デジタルオンチの者でも、とても1回では無理だ。これから、ときどきこの街にたちどまり、60代のジジイの感想を勝手気ままに語っていこうと思う。
きょうは、そんなデジタルエンタテイメント、オタクの街の秋葉原の文化の一端を、もう2つだけ取り上げてみたい。
まず、「ガチャポン」とか「ガチャ」と呼ばれているカプセルトイの自動販売機群だ。秋葉原でいちばん大きな交差点の建物に「ガチャポン」がズラリと並んでいて、たくさんの人が、硬貨を入れ、レバーをまわし、アニメやゲームのキャラクターたちの小さな玩具がはいったカプセルトイを買っている。外国人もたくさん買っている。「たちどまる」通行人たちに囲まれながら。
もうひとつ。おでん缶自販機。日本でこの街だけではないだろうか。おでん缶ばかりで占められた自動販売機があるのは。この光景に出会うとエッと驚くとともに、いやがうえでもたちどまらされる。
はじまりは、冬場に売上が落ちる自動販売機の打開策として1990年初めに秋葉原のチチブデンキが名古屋の天狗缶詰のおでん缶を導入したことたそうだ。これが話題になり、いまでは秋葉原名物になっている。オタク気質の若者たちにとってはピッタリくる商品だったのだろう。