アメ横のつぎは、その南にある御徒町にたちどまる。

江戸時代、サムライとしては下級の「徒士」(かち)が多く住んだことからこの地名があるとか。

一方で、その江戸時代から、宝飾品の街としての歴史をたどりはじめたようだ。付近に、上野寛永寺、浅草寺などなどのたくさんの寺社があり、仏具や関連の器の需要が多く、さらに、浅草、吉原、柳橋、黒門町、湯島、根津などの色街も近くに多くあったことから、仏具・器、かんざし、帯留めなどをつくる職人が多く住むようになり、それらのビジネスの拠点として発展していったようだ。

いまでも、この街にくると、宝飾店の多さに驚き、たちどまる。日本中探してもこれだけ宝石・貴金属を扱う店が多いところは他にないのでは。

 

あと、御徒町といえば2つの小売店が象徴的存在となっている。

ひとつは、JR御徒町駅に隣接しているスーパーの吉池だ。

吉池は、活きのよい丸魚や切身魚を発泡スチロールケースや大皿にのせて対面で売る、大漁旗がたくさん掲げられた、大きな売場に、思わずたちどまってしまう。固定のお客さまだろうか、店員さんと言葉を交わし、いくつもの魚を買っていく。

 

もうひとつは、昭和通りと春日通りの交差点あたりに複数の紫色の店舗を展開するデイスカウントストア多慶屋(たけや)。

紫色という外壁が、道行くヒトをたちどまらせるのだが、いまでこそすこし上品な佇まいに作り変えられているが、以前は、強烈な紫色がとにかく印象的だった。衣食住すべての商品を品そろえしていて、その価格の安さが、またさらにヒトのたちどまりを増やす。とくに食品は、多慶屋オリジナルで大容量の商品が豊富で、店内の最優位置を占拠している。すべてここでしか入手できない。