本郷には菊坂という坂があります。本郷の中心といえる本郷三丁目の交差点あたりから4丁目と5丁目の境界線に沿って北東に伸びる坂です。むかしは文字通り菊がたくさん咲いていた坂のようです。以前、NHKの「ブラタモリ」で、川が地下を流れる「暗渠」の坂として紹介されていました。水源は隣接する東大の三四郎池のようです。
本郷台地で歴史を感じさせる名残はとくにこの坂周辺に多くみられます。このブログで紹介した、明暦の大火の火元となった本妙寺、樋口一葉ゆかりの家や質屋、などなどです。
そんな「遺跡」以外にも、思わず「たちどまる」ところがあります。「金魚坂」がそうです。金魚を飼育し販売しています。ホッとします。カフェも併設されていて、お弁当はおいしいです。
その「金魚坂」の近くには、最近、東京のあちこちで見られるようになった、味にこだわった小さな小さな「コーヒー屋さん」があり、この店はいつもお客さんでいっぱいです。それ以上に、この店には思わずたちどまってしまう印象的なメッセージがあります。まいにちお昼時になると、「店の者がお昼休憩をとらしていただいます。sorry」と大きく記された黒板を店頭に出しているのです。稼ぎ時の昼食時に、店員さんの都合を優先している、なんだかこころがなごむ運営をしている感じです。
ついでに、この菊坂から春日通りという大通りに出る角にある「ファイアーハウス」というハンバーガーショップも紹介しておきます。ここは常にお客さんが行列しています。SNSで頻繁に話題になっているのでしょう。時代を感じさせる古い木壁、サイン、木製テーブル・椅子などの外観・内観づくりも「たちどまる」ことを促しているように思います。