ブログ更新、ずいぶんご無沙汰してしまいました
引き続き、2014年からの約3年間、台湾で日本語教師として過ごした日々の思い出です。
台湾での寮生活。
初めに先輩の先生からいろんなレクチャーを受けました。
トイレ、シャワー、キッチン、洗濯、掃除当番、ゴミ捨て…ふむふむ。
そして、最後に
「あ、大事なことを忘れてた」と。
大事なこと それは
「自分の部屋での飲食禁止」
飲食はすべて共用のキッチンかダイニングでというのです。
むむむ。何気に厳しいではないの…?
お菓子、部屋で食べたいなあ
宜蘭のお菓子 牛舌餅
牛の舌の形に似た、パリパリ食感のクッキーです
よくよく聞くと、
飲食自体に問題があるわけではなく、
部屋に食べ物(や食べかす)があると、アリが来て大変なことになるからとのことでした。
だから、キッチンを使うときも、食べ物を放置しないように、開封したもので蟻が来そうなものはすぐに冷蔵庫へ。ダイニングで何か食べた後も、テーブルや床をチェックして、と。
キッチンをきれいにする理由がアリ…
そんなに大変なの?という気持ちが顔に出ていたのでしょうか、
「いや、本当に大変だから。これ絶対よ!」
と念を押されてしまいました。
何だかよくわからないけど大変そう…
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先輩の言っていた意味がわかる日は、すぐにやってきました。
ある日のキッチン
調理台からシンクにアリの行列が
ここ、2階なのに!
街中の、普通のコンクリート建築なのに!
原因はシンクの三角コーナーのマンゴーの皮。
生ゴミも、ビニール袋に入れて口を縛っておかないとだめなんだそうです
それにしても、嗅ぎつけるのが早いこと!
何時間も放置していたわけじゃないのに…
アリ、恐るべし。
マンゴーといえば、裕成水果店の芒果冰
山盛りマンゴーが懐かしい・・・
アリの襲撃を受けたら、皆で「あ~も~」と言いながら、殺虫剤をかけたりティッシュでずずずい~っとつぶしながら拭き取ったり、侵入経路を探したりという事後処理が始まるのでした
一般的な殺虫剤はあるし、アリコロリ?的なものを置いてみたりと、それまでも一通りのことは試してみたそうですが、どれも決定打とはならず。結局、アリがたかるような状況を作らないことが一番の方法ということのようです。
これはうちの寮だけの話ではなく、職場(スクール)でも同じような状況でした。
マンゴーやパイナップルを切り分けて皆で、なんてことがちょくちょくあるのですが(さすが台湾)、これもうっかりすると大変なことに。
出しっぱなしだったことを思い出し、慌ててテーブルを見に行くと、お皿とフルーツの上には黒い点々…
あああぁぁ、やられたぁ…
これは木瓜(パパイヤ)
そんな状況ですから、机の上にお菓子をむきだしのままで置いておくなんて、とんでもないこと。個包装じゃないおまんじゅうやクッキーをペーパーや紙皿にのせて配る、という日本の職場なら普通の風景は、ここ台湾では絶対に見られないのでした。
台湾の「懐かしの味」といわれるお菓子の一つ 麦芽餅
クラッカーに水飴をはさんでいます。
(机に放置したらきっと大変なことに・・・)
これ、「台湾」じゃなく「台南」特有のこと
それとも、古いビルならではの現象
学生に聞いてみることはなかったのですが、彼らがアリに動じる場面はなかったような。そう考えると、うちの寮や職場ほどではないにしても、皆それなりにアリには耐性があるんじゃないかという気がします。
そういえば…私が日本から持って帰った甘い香りのハンドクリームを、台湾人スタッフの女の子にあげたときのこと。
さっそく手に塗って「わ~いい匂い。おいしそう」とくんくん匂いを嗅いでいたのですが、急に真顔になって
「これ、アリが来るかな」と。
隣にいた台湾人の先生が「来るわけないよ~」と笑っていました。
やっぱり台湾人も、アリの怖さは身に沁みてるんですね。
(それにしても、アリは何に反応してやってくるんだろう。おいしそうな匂いでも食べ物じゃなかったら反応しないのか?興味深いですね。)
いただいたお菓子が個包装なのか、今開けてもいいものか、しばし考える
しかし、慣れというものはすごいもので。
初めの頃こそ自分の机にアリが出るとあわててティッシュで押さえて潰していましたが、いつの日か、机の上をチョロチョロしている数匹のアリを、何の動揺もなく直接指でブチブチッと潰すようになっていました。
ふと我に返って、
ハッ!私ったらなんてことを…と。
自分が台湾人化したのを感じた瞬間でした。
アリに慣れるのが台湾人への一歩とは…
日本に帰って何年も経つ今では、直にアリを潰すのはためらうようになりました。(台湾成分が抜けてきたなあ)
が、机にむき出しのまま置かれたお菓子を見ると今でも「ああ、台湾だったらこんなことしたら大変なことになるなあ」と、アリとの緊張感ある日々(笑)を思い出してしまうのでした。