書籍「私の人生 模型屋稼業」 | たっちゃんの鉄楽切り抜き帳

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「鉄道」を趣味の対象として、さまざまに楽しむ活動を記録するブログです。


 それにしても暑い! まだ梅雨明けもしていないというのに、東京は早くも35度超えの猛暑日。一部の地方では40度に迫る酷暑とかで、ますます地球環境はおかしくなってきた。今後はこれが常態化するのだろうから恐ろしい。
 こう暑いとエアコンの効いた部屋で本や雑誌を読んで過ごすことが多くなった。そこで以前から紹介しようと思っていた書籍の話題を。
 「私の人生 模型屋稼業」という本で、著者は坂本憲二氏。副題に「さかつうギャラリー43年を振り返る」とあることで分かる通り、巣鴨にある同店を立ち上げた人物。ちょっと紛らわしいが、同店が開店したのは2008年だから、本書の出版年(2018年)時点でまだ10周年。43年という表記は、坂本氏がこの世界で事業を始めてからの歳月を意味している。
 実はこの本を入手したのは最近のことだった。おそらくは自費出版で出されたものと思われ、販売はさかつうギャラリーのみ。発行部数も少なく、その存在を知った時は既に完売だった。増刷の予定がないか問い合わせたが、考えていないとのこと。諦めていたのだが、たまたま中古市場で発見し、入手したのだった。
 内容は坂本憲二氏の自伝のような形だが、今でも珍しい「ジオラマ(情景模型)専門店」を立ち上げるに至った経緯や、病魔と闘いながら孤軍奮闘してきた人生の歴史は、同じ時代を生きてきた世代として興味深いものがある。

 始まりは1975年に立ち上げた「坂本通販」で、この時代に通信販売を始めたのだから、先見の明があったわけだ。TMS誌に広告が出されていたが、扱いはアメリカ型鉄道模型がメインだったので利用することはなかった。その後、実店舗「さかつう鉄道模型店」がオープンし、一度だけのぞきに行ったことがある  。

 日本の鉄道模型界は圧倒的に車両模型がメインであり、ジオラマやレイアウトに手を出す人はごく少数だった。だから関連する製品も海外からの輸入物ばかり。Nゲージの隆盛、レーザーカットや3Dプリンタなどの新しい製法が出てきたことで、ようやくジオラマ関連の国産製品が増えてきた。
 現在は息子さんが継いでいるさかつうギャラリーへは時々行っているが、店内はジオラマ関連の商品でギッシリと埋め尽くされている。素材、キット、フィギュア、そして工具や接着剤といった商品だけでなく、ジオラマ作家の作品販売も行われている。入口脇に展示されている東京スカイツリーの超高級モデルについては、本書に詳しい記述がある。
 興味をもった方は是非一読を・・と言いたいところだが、残念ながら本書は入手困難だ。電子書籍などでの公開は難しいのだろうか。