赤いのと青いの、どっちがいい? | たっちゃんの鉄楽切り抜き帳

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 奇跡的に現存していたサシ581が、保存展示されるために千葉にある「ポッポの丘」に搬入された・・というニュースが報じられたのは今年の春だった。無事に搬入は完了して、現在は公開展示に向けた整備が行われているようだが、もうそろそろ終わっているかも知れない。
 このサシ581に関して、皆さまの放送局の地元地域局が取材したものが昨秋のローカルニュースで流されていたのをたまたま視たのだが、これが驚くべき経緯だった。現在は同内容をネットで読むことが出来る。
 まず、サシを保管していたのは何と個人だというからビックリ。当時、青森県八戸市に在住していた旅行好きの女性で、旧国鉄が廃車になった車両を売り出したものを購入したという。その時の様子を息子さんが語っており、母親から「食堂車を買うけれど、赤いのと青いの、どっちがいい?」と聞かれたそうだ。鉄道好きならすぐに分かると思うが、赤いのがサシ481で青いのがサシ581。その息子さんが「青いのがいい」と答えたためにサシ581に決まったという話だった。青森の人にとっては、「はつかり」「ゆうづる」「みちのく」などに活躍していた583系こそが特急列車だという思い入れが強かったという。
 まるでマンガみたいなスゴい話だ。時々、引退した実車を購入する個人がいるが、特に鉄道マニアでもない人のケースは珍しいのではないか。広い土地を保有しており、車両そのものより高額であろう運送費用を払える財力という恵まれた条件が必要だ。
 こうしてサシ581が八戸にやってきたのが1990年。それから30年以上が経過、購入した母親も他界し、車両も傷みが激しいために解体を決めたところに、待ったをかけた鉄道好きがいた。ポッポの丘で保存するために必要な費用をクラウドファンディングで捻出し、夢を実現したのだった。
 残念ながら現役時代のサシ581で食事をしたことはない。貧乏旅行ばかりで、食堂車で食事をする余裕がなく、ホームから独特の高い天井をもつ室内をのぞいていた記憶だけが残っている。残念ながらサシの写真も撮っていない。チャンスがあれば、保存車で往年を雰囲気を味わってみたいものだ。