鉄道模型考古学 | たっちゃんの鉄楽切り抜き帳

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「鉄道」を趣味の対象として、さまざまに楽しむ活動を記録するブログです。


 この表紙を見て、ああ懐かしい・・と思われる方はそこそこの模型歴をもつ16番愛好家だろう。この「鉄道模型考古学」は、日本型機関車を中心に16番スケール鉄道模型製品の歴史を振り返ったもので、当初RM誌に連載されており、のちにムック本化されて刊行された。
 この著者である松本吉之氏の訃報がRM-MODELSに掲載されていた。ほぼ同年代だったのでちょっとショックだったが、久しぶりに同書を開いてみた。
 著者と世代が近いということは、同じ時代を生きてきたということであり、つまりはここに書かれている鉄道模型史をリアルタイムで経験してきた。だから雑誌連載時から毎回楽しみに読んでおり、ムック本をなってからも何度も読み返して楽しんだため、一部のページの装丁が傷んでいる。
 今も活動中の天賞堂、カツミ、エンドウといったメーカーに加えて、鉄道模型社、つぼみ堂模型店、トビー、しなのマイクロ、宮沢模型(現在は問屋に専念)、珊瑚模型店、そして先月廃業してしまったカワイモデルなど、過去のメーカーを含めた16番スケールの機関車模型製品を俯瞰出来る資料として貴重な存在だ。中古製品入手の際の参考書としても重宝する。
 趣味の物だから、模型製品に対する評価は人によってさまざまだが、松本氏のコメントは的確で同意する内容が多かった。
 ムック本としての出版は1998年。そろそろプラ製品が出始めた時代で、マイクロキャストのDD13、トミー(TOMIXではない)のEF58,そしてKATOのDD51とEF58は収録されてる。この後、16番製品は徐々にブラスモデルからプラ製品へと流れが変わった。


 機関車製品がメインだが、一部電車などのレア製品も紹介されている。上の画像は我が家で入手したものの一部で、以前に当ブログで紹介したものだ。
 その後、松本氏はNゲージ編を執筆されているが、個人的には16番の続編を読んでみたかった。
 天賞堂が自社製品をまとめた「天賞堂BOOK」を出したことがあるが、これは例外的存在で各メーカーにも古い製品の資料は残っていないと聞く。松本氏の著作は後世に鉄道模型史を伝える貴重な一冊だと思う。
 心よりご冥福をお祈り申し上げます。