「地鉄電車」の世界 | たっちゃんの鉄楽切り抜き帳

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「鉄道」を趣味の対象として、さまざまに楽しむ活動を記録するブログです。


 「地鉄電車」といっても、富山地方鉄道のことではない。ある程度、鉄道模型をやっている人なら大抵ご存知と思うが、架空のローカル鉄道名だ。驚異的な作り込みでリアリティ溢れるジオラマを製作する、宮下洋一氏の作品に登場する。

 宮下氏の作品は、完成の都度、模型雑誌に発表されているが、それを一冊にまとめたムック本「地鉄電車慕情」が発売されたのは2001年のことだった。上の写真は初版本で、以後、新作を加えた改訂版が出されている。


 さまざまなイベントや一部の模型店店頭で、宮下作品を拝見する機会があったのだが、先日、たまたま訪れた「さかつうギャラリー」で展示イベントが行われており、じっくりと楽しませていただいた。

 展示のメインとなっていたのは、原点ともいえる「岩倉町」。ローカル私鉄の終着駅(始発駅かも?)に検修区が隣接した大作だ。




 見ていると、架空の駅なのに、どこか懐かしい思い出のある場所に思えてくる。日本のローカル駅が持つ、まったりとした特有の空気感までが見事に再現されている。




 単なる箱庭世界ではなく、細密な作り込みにより、そこに住んでいる人々の生活感までが再現されているのに驚嘆させられる。



 人工物と自然が共存するジオラマ製作は、三次元で表現する絵画のようなものだと思う。確かな観察眼、ハイレベルの技術(工作力)、美術センスといったものに裏付けられた絵心が求められる。いずれも我が身からは程遠い存在だ。(続く)