サントリーホールでのウィーン・フィル週間、室内楽に続いてオーケストラ公演がスタート。2018年の一般公演は3回が開催されている。
初日となった11月20日。ホールに入ると、ちょっと緊張感のある独特の空気が漂っていた。演奏会通いを続けていると、すぐにVIPのご来場があることが分かる。
この日のプログラムは、モーツァルトの“歌劇「魔笛」~序曲”、同“ピアノ協奏曲第24番”、そしてブラームスの“交響曲第2番”。ウィーン・フィルならではの音世界を堪能出来る王道の曲目が並んだ。
ピアノ協奏曲のソリストはラン・ラン。追っかけファンも多い人気ピアニストで、おそらくこの日のチケット争奪戦が一番激戦だったことだろう。
残念ながら、個人的にはラン・ランは全く思い入れはなく、この人の音楽性はウィーン・フィルよりもベルリン・フィルあたりの方が相性が良いと思う。
従って、この日の聴き物は後半のブラームス。これは期待にたがわぬ名演だった。第一楽章の冒頭で弦が歌い出すあたりの美しさは、ウィーン・フィルならではの天上の響き。近年のウィーン・フィルはメンバーの若返りが著しく、長い間楽団の顔だったライナー・キュッヒルの引退もあって、アンサンブルの低下を感じることもあるのだが、さすがにブラームスは見事なものだった。
アンコールは、もちろんシュトラウス。ワルツ“南国のばら”とポルカ“テープは切られた”の二曲。